復帰準備について聞く
復帰まであと一ヶ月余り、その準備に大変ですが、今回は、農業、漁業の問題について、農協長、漁業組合長に、今後の事について語っていただきました。
抜本的な農業振興を 農協長 山城幸成
待望の祖国復帰もあと一ヶ月余りに控えていますが私たち村民は充分に事態に対処し、いやしくも復帰によって、私たちの生活が低下するような事があってはならず、村民が豊かで、明るい生活が出来る村づくりに努力しなければなりません。
読谷村農協といたしましても、これまで村の経済発展に微力ながらつくして来ましたが、これからも農家の生活の向上と経済の安定、村の発展のため力を合わせて行きたいと思います。
これまでの農協運営は、組合員の御協力によって年を重ねるごとに発展して来ましたが、復帰という世替りの中で本土と対等になるには経営を合理化しなけばなりませんが、かなりきびしいものがあります。
しかし、農協が農家の利益を守るという基本理念をモットーに運営に当る決意です。
さて、今後の農業、とりわけ本土と一体化された時点での農業はどうあるべきかということですが、現在のような農業のやり方では本土との格差はひらくばかりです。
ですから、機械化と家畜をとり入れた合理的な農業を考えねばならないと思います。それは、農家の創意と努力が必要ですが、村や政府の振興策が必要です。農協としては、そういう方向で指導にあたりたい。
さて、農業の方向ですが、読谷では、キビ、イモ、豚を基本に施設園芸を加えた方向ですすめる考えです。キビ作は年々減産しています。それはそれなりの要因があるでしょうが、沖縄の基幹産業として増産するために政府の抜本的な振興策を講ずるべきです。
養豚にしましても本土とは経営規模で格差が大きくどうしても経営規模の拡大が必要です。
施設園芸のピーマン、スイカ、キュウリ等は毎年売上は伸びていることは明るいことです。
農協の新しい事業としてはユリ栽培や保険業務があります。
これからは、営農指導に力を入れる考えで指導員を増員したい。
今後は合理的に考える農業に脱皮しなければならないが、読谷の農業を阻害しているのは軍用地であるということです。
この問題を解決しなければ、思い切った事が出来ないので村や村政にその解決方を強く望みたい。
漁港の整備急げ 漁協長 古堅宗和
読谷村漁協は、戦後アメリカの軍事目的によって最も豊富な漁場である残波岬周辺で操業制限を受けその漁業損失額は実に五五万五〇〇〇ドルという莫大な額にのぼっているのです。
漁民が漁場を奪われるということは、生活権をうばわれるのと同じもので絶対に許されるべきものでありません。残念ながら、沖縄がアメリカの支配下であり軍事目的を優先するという政策によって、私たちの要求はおしつぶされ、当然の権利さえも無視されてきたわけです。
ですから五月一五日の復帰は私たち漁民にとって奪われた生活権をとりかえし、存分に漁業ができるとの期待をもつ反面、自衛隊が再び使用するのでははとの不安もあります。
さて、復帰後の漁協としての対処策ですが、第一に漁港の整備をしなければならないと考えます。
現在のような施設では、近代的な漁業は出来ません。どうしても、漁港を整備し防波堤をつくり、漁船を大型にしなければ発展は望めないのです。
しかしそれは莫大な予算が必要ですので単協の力では不可能で、どうしても村や政府の援助にたよらねばならないと思います。
漁船を大型化すれば現在の漁業権内漁業から近海漁業に変りますし、そうすると必然的に漁獲高もあがって来ます。漁獲高が多くなると冷凍施設をつくり、セリ市が開けるわけです。
そうなりますと漁民の生産意欲も高まって行くものと期待するわけです。
それから、養殖ではウニ養殖やヒトエ草養殖を計画的にしたい。現在は乱獲気味ですので、それをふせぐにも、一定区域を指定し養殖するわけです。ウニは一個で年間に二五〇~三〇〇個を産卵しますから計画的にすれば必ず成功すると思います。
漁協としては、水産業の振興も大切なことですが、それに加えまして漁場の保護も大切です。
最近地域開発が盛んで、特に海域を埋立て企業を誘致する計画が進み、すでに東海岸一帯には石油産業が進出していますが漁民の立場からは反対です。
企業誘致は賛成ですが、漁場を荒すような企業には絶対に反対です。
これからの課題としては組合の体質改善と組合員の育成に力を入れて本土との格差是正に努力する決意であります。