〔205号4ページの続き〕
から数回にわたって①元地主に土地を返還せよ。②三〇有余年間の補償をせよ。という要請を続けている最中に昨年(一九七六年七月)同飛行場内に米軍によるアンテナ工事が極秘の中に進められようとして問題が発生し、現在工事は中断されております。同地域は地主会や村が主張している通り、戦後処理の問題をまっさきに解決すべきであり、それをせずにアンテナ基地を作るべきではありません。
この手紙がカーター大統領の手許に届く前に、米軍は業者を通して機動隊を出動させ、反対している村民を弾圧する動きが日々刻々と迫っている状況であります。機動隊によって弾圧されることになると真実は圧殺され、正しい要求はおしつぶされ、不正義が通ることになります。私達は不正義や不道徳が通る世の中を作ってはいけません。
私達が村をあげて米軍のアンテナ基地に反対している理由は三つあります。
①アンテナ基地になると地主への土地の返還がさらにおくれる。
②アンテナ基地になると村の基本構想に基づく土地利用ができなくなる。
③村の五五%が米軍基地であり、これ以上基地の拡大を認めることはできない。
ということであります。読谷村の同地域の土地利用計画の構想を申し上げますと工業用地、農業用地、公共用地の三つの構想があります。その中の公共用地は、村の庁舎、教育文化、社会福祉活動のセンター、運動公園として位置づけてあります。一九七七年度は運動公園の準備、一九七八年度は運動公園の建設着手の計画で作業を進めております。若し、貴国の軍隊のアンテナ基地が実現しますと、村民二万五千人が「皆で運動公園を作ろう」という悲願は米軍によって押しつぶされることになります。その
ような不幸なことが起らないよう願うものであります。村民と米軍とは信頼関係が必要であり、それなくして他国での基地の維持は困難をきわめると思います。私は、農民の気持、貧しい人々の気持、しいたげられてきた人々の気持を理解していらっしゃる大統領は必ず不幸な事態だけは除いていただけるものと確信しております。
村民は一日も早く、運動公園が出来るのを夢みているのであります。子供達、青年、婦人、お年寄りの方々が広々とした緑にかこまれた運動公園で野球に、陸上に、ラグビー、サッカーテニス等で汗を流し、木々の下で若い青年達は夢を、恋を語り、人生を、神を、哲学を、芸術を、論じ、お寄は広場や芝生の上に腰を降し、生き甲斐を語り、このように村民の憩の場、語らいの場であり、スポーツを通して健康を維持し、豊かな人間性をつちかう為に、運動公園を作ろうということは村民の共通の夢であり世論であります。どうか、カーター大統領殿、この素朴なこの美しい、このたくましい、この平和な夢だけは圧殺させないでほしい。小さい夢、小さな願いとお笑いになるかも知れませんが、今の我々にとっては、大切なそして大きな夢なのです。どこの国、どこの軍隊でもこの夢、この願いを弾圧し圧殺していく権利はないと思います。その土地に永久に住む者の計画が優先すべきであって、いつかはかえる米軍基地が優先されるべきではないと思います。そのことを在日米軍海軍司令部に再検討するよう大統領からの御助言をお願い申し上げます。
私は、村議会議長、地主会長、その他関係者と共に何回となく在沖米海軍の関係者にもお願いをし更に在日米海軍のラッセル将軍宛にも要請を続けて参りましたが、まだよい回答を得ておりません。
私は、大統領という米国最高の責任者に直接手紙でお願いをする非礼も重々承知で、あえて、手紙を書きましたのは、二万五千人の村民を思い、地主会の主張を思い、誠意ある方々の支援を思い、万が一にでも、その願いや夢が無残にも押しつぶされることがあってはいけないし、大統領の云う「なぜベストをつくさないのか」という心情で、どんなことがあってもお願いをするのだと自分自身に云いきかせるといいますが、すなわち、人事を尽して天命を待つという気持でお手紙を差し上げる訳けであります。
アメリカ合衆国の独立宣言の中に「すべての人は生れながらにして平等で生命自由、および幸福の追求をする権利があり………」とうたわれております私達村民にも自分達の夢を実現させ幸福になる権利もあります。大統領の就任演説で「われわれの人権を守るという約束は絶対でなければならず……強者が弱者を迫害してはならず、また人間の尊厳は高揚されなければならない」と述べられたお気持で、読谷村民が要請しております読谷飛行場内の米軍アンテナ工事を即時中止して下さいますようお願い申し上げます。
私は事を処するにベストを尽すことを信念としておられるカーター大統領からの明るい返事が一日も早からんことを期待しております。
最後に、カーター大統領の御健斗を祈念申し上げます。
さようなら
日本国沖縄県読谷村長 山内徳信
※写真は原本参照