国籍法・戸籍法が改正されます-昭和60年1月1日施行-
国籍法と戸籍法が改正され昭和六〇年一月一日から施行されますが、その主な改正点は次の通りです。
一、父母両系主義の採用
これまでは、原則として生まれた時に父が日本人でなければその子は日本人になれなかったのですが、昭和六〇年一月一日からは、生まれた時に父母の一方が日本人であれば、その子は日本人になります。
二、二重国籍の防止・解消
父母両系主義を採用すると二重国籍になる子が多くなります。
例えば、韓国人夫と、日本人妻の夫婦から生まれた子は、これまでは、父親の韓国の国籍だけを取得しましたが、これからは、母親の日本国籍をも取得して二重国籍になります。
このような二重国籍の防止のため次の制度を設けました。
(1)国籍の留保制度の適用範囲の拡大
国籍の留保制度というのは、例えば、アメリカ合衆国や、ブラジルなどのように自国内で生まれた人に国籍を与えることとしている国(これを生地主義といいます)で生まれたことにより二重国籍になった子は、日本の国籍を留保する届出をしなければ日本の国籍を失うという制度です。
これまではこの制度は、生地主義国だけに適用があったのですが、改正法は、その適用を広げて、広く海外において出生により二重国籍となった場合にすべて国籍留保の届出を必要とすることにしています。
(先の例の韓国人夫と日本人妻の子が国外で生れた場合もこの制度が適用されることになります。)
(2)国籍の選択制度の新設
この制度によれば、二重国籍者は、原則として二二歳になるまでに日本の国籍か外国の国籍のいずれかを選択しなければなりません。日本の国籍を選択するには外国の国籍を離脱するか、又は「日本の国籍を選択しかつ外国の国籍を放棄する」旨の選択の宣言を市区町村長に届け出なければなりません。
外国の国籍を選択するには、日本の国籍の離脱を届け出ることなどによってします。また、法律に定められた国籍選択の期限を過ぎても選択をしないでいると法務大臣から催告され、一ヵ月以内に選択をしないと自動的に日本の国籍を失うことになります。
三、帰化条件の改正
これまでは、日本人と結婚した外国人の帰化条件はその外国人が夫であるか妻であるかで居住の条件などに差異がありました。改正法では、これを同一にして三年以上国内に居住していると(結婚が三年以上続いている場合には一年以上国内に居住していること)が必要になりました。
このほか、これまで帰化申請者本人に独立の生活能力のあることが必要とされていましたが、改正法では原則として世帯単位で生活能力が判断されることになりました。また、帰化の時に外国の国籍を失うことが必要とされる重国籍防止条件についても、特別の事情がある場合には、例外として帰化が認められることとなっています。
四、届出による国籍の取得
父母両系主義は、昭和六〇年一月一日以降生まれた子に適用されますが、この日より前に生まれた子には適用されません。けれども国際結婚をした日本人女性の子で、改正法施行の日に二十歳未満であるものについては、一定の条件の下で施行後三年間に限り法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。
五、国際結婚をした人の氏の変更
外国人と結婚しても、結婚した日本人の氏が変わらないのは、これまでと同じですが、改正法は、その人が希望するときは、結婚の日から六ケ月以内に市区町村長に届出をすることによって外国人配偶者と同じ氏を名のることができることになりました。