次に昭和六二年度の施策の概要を申し上げます。
(1)学校・社会教育並びに文化活動等の振興に関する施策
教育基本法前文に「教育の理念は民主的で文化的国家を建設して世界の平和と人類の福祉に貢献し、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざすものである。この理想の実現は根本において教育の力にまつべきものである」と教育の原理が示され、さらに「教育の目的は人格の完成をめざし、平和的、民主的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」とうたわれています。教育行政はこの教育基本法の理念に基づき、教育環境の整備、学習指導の充実、青少年の健全育成、社会教育の充実、体力の増進、郷土文化の振興及び文化財の保護育成、さらに生涯各期における能力の開発と豊かな人間性の形成の確立、心身共に調和のとれた村民の育成をめざして行政・学校・父母等地域社会が一体となって学校及び社会教育の振興をはかっていくことであり、その実現のために次の事業を実施してまいります。
① 教育諸条件の整備
学校教育において学校施設の整備は最も基本的な事項であり、これまで校舎建築を中心に種々の施設を整備してまいりました。本年度の事業としましては、喜名小学校水泳プールの建設、古堅中学校運動場の整備、読谷中学校の擁壁工事等を実施し、知育、・徳育・体育の調和のとれた児童生徒の育成をめざした学校教育の一層の充実に努めてまいります。
② 社会教育並びに体育の振興
情報化及び技術革新、加えて高齢化社会の進展、余暇時間の増大などと社会諸条件の変化していく中で、生涯にわたる学習活動によって心豊かな人生の創造や住みよい村づくりの実現のために社会教育事業を実施してまいります。
年令期別や学習内容別の多様な学級および文化講座等、内容の向上をはかりつつ開設し、自主グループ活動や社会教育関係団体の育成に努めてまいります。
地域における活動拠点である部落公民館の整備としまして本年度は比謝学習等供用施設の建設と波平公民館集会所施設の整備をすすめてまいります。また、各公民館との連携を密にしてその活動を育成援助しつつ第十二回公民館のつどい等を実施してまいります。さらに健全な青少年活動のための青少年団体の育成およびその地域指導体制の充実強化をはかってまいります。
一方、児童生徒に感動を抱かせ夢とロマンをかなえる旅である「北と南」の児童交流事業は本年度で六回目を迎えこれまで七〇人の子供達が白銀の雄大な大自然を体験し、広い視野と希望に満ちた人間が形成されつつあるものと確信するものであります。第一回目の子供の中にはすでに成人に達しようとしている人もおり、次代を担う若者を育成する事業として継続してまいりたいと思います。
社会体育事業としましては、村民の健康・体力づくりをめざす生涯スポーツを推進し、各種のスポーツ教室や大会、スポーツ相談や指導者の養成、スポーツ団体の育成に努めコミュニティースポーツを推進してまいります。さらに先般開催されました残波岬マスターズ駅伝大会を定着化させ高年者のスポーツ行事として発展させてまいりたいと思います。村民のスポーツ活動を発展させるために各学校の体育施設の開放事業や運動広場、そして新しく開設される国体会場としての野球場及び多目的広場等の効果的活用を行い、スポーツに親しめる環境づくりを推進してまいります。
③ 文化財保護と文化運動の展開
「文化」はそれぞれの地域において、それぞれの地域特性を充実させていくことが最も基本的な培養法であり、それは地方自治の確立につながるものであります。
先人の遺した貴重な文化遺産は関係者の努力と村民の絶大なる協力により収集・発掘・調査等が実施され、内容がますます充実してまいりましたが、一方で新しい文化創造への礎ともなっております、本年度も資料館を中心に歴史民俗の調査、民話調査、民具の収集等を行ってまいります。また読谷村の象徴ともなっている座喜味城跡は県内では初めての史跡環境整備事業であり、十三年の歳月をかけて整備をしてまいりました。大戦によって打ちひしがれてきた村民の心が、同じく破壊された城を復元することにより、文化への熱い思いを結実させた一つの大きな成果であり村民の平和への願いの象徴とした建造物となっていくことでありましょう。
一方、村民活動の総合的発表の場である「読谷まつり」は、琉球古典音楽の始祖「赤犬子」に因んだ「琉球古典音楽大演奏会」と十四世紀に初めて朝貢貿易の使者となった宇座の泰期をたたえた「進貢船」の二大ハイライト、その他の資質の高い発表も村民総参加の下に行われ、ますます読谷の文化性を高める一大行事となり、県内外からも多くの参観者が訪れるようになりました。本年度は国体開催の時期とも重なり、その取り組みが憂慮されますが継続は力であり村民のすぐれたバイタリティーでそれを乗り越えてまいりたいと思います。
「村史」編集事業につきましては、待望の第一版『戦前新聞集成』上・下巻が発刊されました。この資料編は明治三一年~昭和二十年までの読谷関係の記事を県内外の関係機関の協力を得て編集されたもので長期間を要する作業になりましたが約九十年前からの読谷の社会的背景が浮き彫りにされてまいりました。「村史」はこれまでの本村の歩みを記録し、現在及び未来への道標となるものであり村民の貴重な財産ともなります。全八巻を刊行する予定でありますが、本年度は『文献資料編』の発刊を計画してまいります。
一方、読谷における美術・工芸等の創作活動である「第七回アンデパンダン展」の開催をはじめ、多くの村民や児童生徒が日本の秀作絵画を鑑賞する「動く美術館」の開催、さらに今後の本村のこれらの活動拠点となる美術館(博物館)建設に向けても引きつづき調査活動を実施してまいりたいと思います。読谷における創作活動として多くの人々の手と奉仕によって制作された日本一の「残波大獅子」は今や県下の名物の一つに数えられております。先人の進取の気性をたたえ、その魂を受け継ぎ、限りない読谷の飛躍と村民の幸せを願う平和の象徴となっています。さらにこの「残波大獅子」と呼応した「残波大獅子太鼓」も若者の情熱あふれる表現活動として新しい文化の胎動であり、また読谷の地でも日本の一流の音楽家の演奏が聞けるような民間の主催団体も結成され、文化活動はますます発展してまいりました。さらに全国的にも著名な多様の方々が訪れるようになり、読谷の村民性と文化性に多くの期待と関心を寄せているところであります。
「人、歩けば道となり、その道はやがて文化となる」。
村民一人一人が二十世紀後半の文化の創造者という認識をもち、たゆまぬ努力と実践によって二一世紀の歴史の批判に耐え得る村づくりに邁進していきたいものであります。
(2)産業経済振興に関する施策
① 農業生産基盤の整備
本村の農業は広大な返還軍用地等での土地改良事業が進行し生産条件が整備されて生産量も増加してきました。
作物はサトウキビを中心として温暖な気候を生かした野菜、花卉などその展望が開かれつつありますが、これからの課題として病害虫を防除して生産性及び収益性のある農業生産が望まれるところであります。
これまで有限である土地の高度利用をはかるために座喜味、渡具知、西部連道、渡慶次、浜屋、萩川の六地区で土地改良総合整備事業を進めてまいりましたが、本年度もさらに四地区における事業の継続と新規に波平地区を加えて事業を推進してまいります。
イ、西部達道地区土地改良総合整備事業
採択から八年目を迎えこれまで六五・八ヘクタールの圃場が整備されてきましたが、本年度も五・四三ヘクタールの圃場と幹線及び支線農道、さらに排水路等の整備を実施してまいります。
ロ、渡慶次地区土地改良総合整備事業
五年目を迎えこれまで十九ヘクタールの圃場が整備されてきました。本年度も引き続き五ヘクタールの圃場の整備と排水路の整備を実施してまいります。
ハ、浜屋地区土地改良総合整備事業
四年目に入り、これまで十・五ヘクタールの圃場が整備されてまいりましたが引き続き三・五ヘク
タールの圃場の整備と支線農道及び排水路の整備を実施いたします。
二、萩川地区土地改良総合整備事業
三年目を迎え四・四ヘクタールの圃場が整備されました。本年度も二・七ヘクタールの圃場整備と支線農道及び排水路の整備を実施致します。
ホ、波平地区土地改良総合整備事業
波平地区につきましては地主の同意が八六%に達し、本年度は事業採択を強力に推進していくとともに基本設計を実施してまいります。
② 県営灌漑排水事業
昭和五七年度から始められた長浜ダムの建設工事は本年で六年目を迎えることになりますが、これまで水没地に係る用地取得と工事用道路、そして仮排水トンネル工事等が実施されてまいりました。
しかし現在一部の用地取得で折り合いがつかず工事の施行が見送られておりますが、本年度はこの用地の折衝に強力な取り組みを行ない切替トンネル工事を促進して農業に不可欠な水の供給のための最大限の努力を払ってまいりたいと思います。
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