沖縄タイムス芸術選賞新入部門・三味線の部七月七日発表された沖縄タイムス芸術選賞新人部門・三味線の部で、字瀬名波の津波タミ子さんが見事合格、話題を呼んでいます。
津波さんは、十二年前視覚に障害を負い、二十八歳の若さでしかも身おもの体で、試練の時を迎えたのです。そんな中、男児を無児出産、今正にわんぱくざかりの二男坊は、家庭の温かい愛に育まれています。
津波さんにとって、家族の励ましはもちろんの事、村社会福祉協議会・視覚部のみなさんとの出会いが、新しい人生のはじまりとなったのでした。ボランティアの人々に支えられ、歩行訓練に始まり料理講習、手芸と徐々にまわりの状況になじんで行き、やがて障害者のスポーツ競技大会においては一躍県内トップクラスにおどり出るようになりました。又ご主人の助言により、昨年から婦人会活動にも復帰するや村婦人の主張大会では、村代表に選ばれるなどのめざましい活躍ぶりです。
三味線は、三年前実家の父親に 勧められ、波平大当の知花信春先生の門をたたき、まるで関心のなかった古典音楽の世界へと新境地を開きました。知花師匠にとって初の門下生、しかも初めてのケースとあって、試行錯誤を重ねながら文字どおり手さぐりの稽古が始ったのです。師匠の温和な人柄と父親が仕事仲間だった事もあり、たちまち、父娘の様な師弟コンビが生まれました。「指摘された事は忠実に守り、こちらの期待にちゃんと応えてくれています。人知れぬ努力の跡がうかがえ、その迫力には圧倒されてしまいます。音感の良さもさることながら、大変な頑張り屋です。」との師匠の弁に「私は先生の教えについて行くだけです。受験のお話をいただいた時は、ためらいもあり、そのチャンスを与えられただけで満足でした。合格なんて夢のまた夢、ほんとに信じられません。知花先生にはどう感謝していいか分かりません。」と師匠を称え「三味線を弾いていると心が安らぎます。愚痴をこぼしている暇なんかありません。」とすっかり三味線の魅力にとりつかれた様でした。いっぽう津波さんの属する村社会福祉協議会の視覚部では、県視覚障害者福祉協会委託事業の「三味線講習会」に知花先生を招き入れ、和やかな雰囲気の中練習が続けられている様です。視覚部のみなさんの絆は堅く、受験当日は、総出で応援に駆けつけ、失格のブザー音が聞きたくて一と心にくいばかりの声援を送り、津波さんの緊張感をほぐしてくれたとのこと。「私のまわりには、心温かい人々ばかりです。それを支えに前向きに生きたい。」と心に誓う津波さん。
「将来は最高賞を!」と早くも津波タミ子さんに寄せる期待の声は多い。