読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1990年4月発行 広報よみたん / 6頁

(3)社会福祉増進のための施策 (2)産業・経済の振興に関する施策

③文化財の保護並びに文化創造運動の展開
 文化は地球という大地に生きている人間生活の証であり、未来永却に煌煌と輝ける星といえます。これは、人類のみが持ち得る崇高な諸活動の開花現象であります。私たちはそれを正しく受け継ぎ、さらに発展させていかなければなりません。また、文化は豊かな地域社会を形成する培養体でもあり、地方自治の確立につながるものでございます。
 「人歩けば道となり、その道はやがて文化となり、歴史となります。」この歴史的文化遺産は村民生活の糧となり、新しい文化を創造する基礎となるものです。
 先人の遺した貴重な文化遺産を収集、保存、発掘、調査し、県内外の人々に公開展示するため歴史民俗資料館が建設され、郷土学習の場、観光の館としても活用されてまいりました。資料館の諸活動が充実発展するとともに、施設も狭隘となったことから昭和六三年
度にまちづくり特別対策事業を導入し、歴史民俗資料館の新館が建築されました。一階・二階部分は歴史民俗資料館とし、三階部分は美術館として位置づけており、尚一層の内容充実をはかってまいります。
 美術館の建設は、読谷村の文化村づくり構想の一環として進められてきました。これは文化村づくりの第二段階への歩みであります。
 この美術館は、歴史の苦悩を背負って生きてきた村民に夢と希望、自信と勇気を与え、二一世紀へ大きく翔く人材の育成につながる教育機関として位置づけ、学校教育、社会教育と有機的なつながりをもたせ、文化、芸術活動及び情操教育の充実発展をめざすものであります。
 そこで、読谷村という自治体の規模、力量に応じた地域美術館として「小を生み、大に育てる」という形で出発させ、将来への展望を抱いて主体的、個性的に実践する手づくり美術館をめざしていよいよ四月から開館させてまいります。
 また、読谷村における美術、工芸等の創作活動の発表の場であります第十回アンデパンダン展を継続して実施してまいります。
 村史編集事業につきましては、これまで「戦前新聞集成上下巻」「文献編」が発刊され、昨年度は「民俗編」の監修作業も進んでおり、近々に発刊予定でございます。
今年度は「戦争編」「芸能、歌謡、言語編」「考古、自然編」の調査、執筆を引き続き実施してまいります。
 また、年々盛大に開催されております「読谷まつり」は今年で第十六回を迎えることになります。読谷まつりは「地域に根ざした産業・経済・文化・芸術の発展を」をテーマに児童生徒から老人まで村民総参加のイベントとして定着しております。ことに、昨年度は、読谷山花織を素材にした洋服のファッションショウが展開され注目をあびました。また、県内外から読谷まつりの参観に訪ずれる人々が増えており、地域文化交流の機会ともなっております。このように読谷まつりが村民活動の集大成の場として日常的な文化創造活動、地域活性化のうねりとなり、広がりを見せはじめていることは、まことに意義深いことであります。
 今年度も引続き村民のご協力を仰ぎ、地域文化創造のまつりとして展開させてまいります。
  
(2)産業・経済の振興に関する施策
 わが国の産業経済は昭和四〇年代の高度成長の時代から、五〇年代の低成長時代を経て安定成長期に入っております。
 ところが、日本経済は貿易摩擦問題をはじめ、様々な難題が諾起している時勢であります。また、産業経済は国際化、情報化、ソフト化の時代と言われて久しいのであります。
 地域における産業経済につきましては地域活性化のもっとも基本的な下部構造でありますので時流を正しく見極め、時代の要請と長期的な視点から二一世紀を展望した産業経済の施策を戦略化することが大切であります。それは、地域の資源、人材、技術、資本など
をいかした産業を創出することが基本であります。
 また、地場産業を振興発展させ、新たな産業を創出し、産業としての体力、体質を強化することが重要でございます。
 沖縄学の父と呼ばれる伊波普猷のことばに「深く掘れ己の胸内の泉余所たよて水や汲まぬごとに」
 また、ドイツの哲学者二ーチェは、「汝の立つ処を深く掘れ、そこに泉あり」と言っております。これら先哲のことばは、地域の特性を自覚し、それを活かした産業経済の振興をはかれ!との教えであると思います。
 本県は二七年間の異民族支配下、離島県でしかも狭小な県土であること等に起因して特異な経済構造を形成してきました。
 それを解消するため、本土復帰後、種々の法制度が適用され、格差是正、自立的発展等の素地づくりがなされてまいりましたが今なお厳しい経済環境下にあります。
 このような状況下で県内の零細な産業構造は、個々で発展するには厳しいものが今後とも予想されます。したがいまして、各産業問の連携を強化し、互いに知恵を出し合い、異業種間の交流を深める中から発想の転換、新たな産業を創出するなど足腰の強い産業の育成に努めてまいります。
 そこで、今年度において地域特性を活かした産業、経済の振興策として次のような施策を実施してまいります。

① 農業生産基盤の整備
 我が国の農政は農産物価格の補填等を中心とする価格政策と農業の質的向上を図る構造改善対策を

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。