読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1956年9月発行 読谷村便り / 2頁

読者の声

読者の声 
住みよき郷土
知花 英康 
 よく寝て目がさめるチャンチャンとラジオの「瀧落し」が聞える。跳び起きて戸を開けると既に新聞が配達されている。顔を洗って門前に出て見ると「お早うお早う」と挨拶しながら仕事場に急ぐ青年等が行来している。箒を持って道を掃いて居る学童も見受ける。又晩に部落内を散歩して見ると、一家団欒食卓を囲んで居る家もあれば既にすまして涼みながら談笑に移っている家もある。あちこち学童の読書の声も聞える。道行く人は顔はハッキリせないが、「今晩は今晩は」と挨拶して通る。斯くして十時頃までには皆戸締りして寝ている。さながら水を打ったような静けさである。思うに明日の活動に備えてであろう。自警団の外は道行く人も居ない。況てや酔ぱらい喧嘩口論等新聞の三面記事になるものは見當らない。是が近頃わが村のありのままの姿であるが、尚拾い物は警察に届け遺失物は夫々その主に返るようになれば先づ當分申し分がない。されど「石の上にも十年」と云って戦争であれ程まで打ち拉がれた読谷は戦後又七十二%も軍用地に接収され、手も足も出せない苦境にありながらよくも辛抱して今日に至ったのであるが、今や八十万県民が立ち上りわが村にも土地を守る会が出来たので、いつかは平和な住みよき郷土も出来るであろう。

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