読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1956年10月発行 読谷村便り / 2頁

読谷村の概況(続)

〔4号1ページの続き〕

 従来の地方団体は政治的地位が極めて低く行政事務においても中央よりの委任事務がその中枢をなし、ややもすれば単なる行政区制におちいる傾向にありました。これに対応する税制度に於も又税源に弾力性がなく中央集権化の傾向にあり地方自治の発展を期するには到底不可能な制度であったと言えます。ところが終戦後統治制度の一環として地方自治制度が大きく取上げあれ地方分権を基盤とする現行制度が採用されることになり、これに即して地方税制度も又一大変革がなされたのであります。以下新税法の改正点につき概略説明を加えたいと思います。
 新税法の改正点を申し上げますと
(1)申告制度の採用
(2)財産税の拡充
(3)自主性、弾力性の強化
(4)課税権の拡張
(5)雑税の整理
等であり、これが実現に相伴って俟って勢い地方自治の整備強化及びこれを裏付けする地方財政の自主性が強く要請されるようになったのであります。即ち旧法において「申告」については条例事項として市町村にまかされていたのであるが、新税法については各税目にわたって申告の義務を規定し、その申告された資料に基づいて課税標準額を決定するという合理的な民主的な方法を採用し村民の納得いくような税務行政を可能ならしめようとしているのであります。
 「財産税の拡充」については、旧法の土地税、家屋税及び船舶税が廃止され課税客体に土地、家屋の外償却資産(ここにいう償却資産とは事業の用に供する資産)を含めて新たな固定資産税が新設され、従来の土地税、家屋税が賃貸価格を以って課税標準とするところ財産税主義を採用するようになったのであります。
 「自主性弾力性の強化、課税権の拡張」については旧法による固定税率を廃止し、標準税率制を採用していることは地方公共団体の行政事務に伴う必要経費をその住民が「税金」を以って賄うという地方自治本来のあり方からして当然のことであり、これはその地方公共団体の社会的、経済実情に即応する限りに於いて税収入を大幅に可能ならしめようとするものであり、地方財政の弾力性を強調しておるのであり、地方に於は課税権の拡張であり同時に税制に関する自主性の強化を意味するものであります。
 「雑税の整理」については、旧法にあったミシン、ラジオ税、電話税、電柱税、接客人税等が廃止され、徴税費最小の原則に基づき当然要請されたものであり、又住民は等しく文化の恩恵に浴する権利がありますのでこれ等文明の利器に課税するということは不適当なものであるという趣旨に基き廃止されたものであり、近代的文化、社会に即する税制度を確立するという意味において意義深いものと思われます。■■新税制度の改革要点となってなっておりますが、要はこの税法を真に民主的、自主的なものとして地方自治の本旨に則って運営していくということが我々住民に与えられた使命であると思います。そのためには先づ「何のために「我々」は「税金」を納付しなければならないかということを充分に理解し同時にこの税金の行くえについてもっと関心を深め積極的に批判をして頂くことが肝要であります。納税成績が向上することはこれに応じてその反対給付としての行政サービスに実を挙げることができるのであり、又村民の皆様がこの「税金」を納付する義務を進んで履行することによって自主的、自律的政治行政の運営が可能となりひいては村の発展が望まれるのであります。尚各税目別に関する改正要領について別表をもって次号に説明いたします。次号に続く

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