読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1958年7月発行 読谷村だより / 3頁

米原生活改善グループの活動状況

米原生活改善グループの活動状況 
八重山米原開拓団 宮城 きく

 私は米原グループの宮城きくで御座います。私達の共同プロゼクトについて発表致します。私達は夫の意志に従って一九五二年十月三十一日に八重山開発へと勇身し現在の地米原に移住致しました。御承知の通り私達が住つている土地は有病地でマラリヤの為めに廃村になった部落なのでありますので特にマラリヤには注意しますし又一般衛生にも力を入れて病気に罹らない様に健康第一主義をモットーとして参って来ました。
 この様な有病地に於いては第一に生活環境を衛生的に浄化する事が最も大事でありまいて特に保健所の御指導を受ける事は勿論でありますがなお各自が衛生に対する関心を深めることであります。そればかりではなく開拓始めでありますので男女共に肉体的重労働は毎日の様に続き其の上に経済のゆとりがないので栄養食を上げるよい考へも生れてきませんでした。只仕事に追い廻されて其の日其の日を送っている有様でした。そこには何んの進歩もなければ生活の楽しさもなく只開拓の希望があつただけでございました。其の為めに尊い犠牲者を出してがっかりして仕舞いました。それではいけないと婦人がもり上り働くのみが能ではない婦人のなすべき事は即ち育児衛生食生活の改善及び婦人の知識を高めることにより主人が十二分に働いて貰へるのだと話し合いそれを家族の者ともよく相談し部落の協力と普及員豊川満子様のおすすめもあって一九五五年四月二十四名からなるグループ結成を致しましたがその時から早速毎月旧十五日に家屋内外の清掃をして寝具類を日光消毒し又食器類をシャフツ消毒してその状況をグループの役員が各戸を廻って検査をして三等まで等級をつけてこれを発表してよい所をほめ又余りよくない所は注意して成績の向上に励めまして今日まで引き続き実行しています。その御陰で各戸の清潔が保たれてマラリヤの保菌者が無くなり部落の人が皆元気で働いています。なおこの次に御便所の事を申し上げますと御便所は保健所から補助を貰いまして十戸程三層式の便所を作りましたが残りの十四戸はどうしたかと云いますと改善模合を組織して其の模合金で以て便所を改善せしめて現在では殆んどが三層式便所になっていまして今では十二指腸患者が一人も居りません。次にグループの基金でありますが如何なる事業も基金が絶対に必要なのであります。それで私達グループも資金をつくる為めに考へたのが一時間作業であります。一時間作業と云いますのはグループの全員が集って雇主の仕事を一時間働くのです。一人に付一時間十円戴いています。会員を集めるにはどう云うふうにしているかと申しますと私達の部落の各種団体は鐘の音を聞きわけて集ることにきめてあります別図の通りでありまして会員を集めるには其の打ち方をするのであります。次にパナナ園の仕事を申しますと私達のグループの永遠の財源にする為に市の山を借り受けてパナナ園を二段歩つくりました。山を伐採するには婦人の弱い腕では大きな木を切るのは困難でありますので戸主の方に御願いして一日宛全戸主が出て貰い伐採して下さいましたので感謝致しています。其の他は私達婦人がやりましたがパナナ苗は有難い事には総て富野学校の校長大田正吉様が私達グループに無償で提供して下さったのであります。大変感謝し必ず成功して御恩返しをすると思って居ります。
 これを植えたのが去る二月一日でありまして現在は既に一回の除草を終り肥料も二袋は施しました私達はこのパナナが予想通りに成功する様に努力致します。私達のパナナは小笠原種ですから平均約七斤としてこれが三六○本で二、五二○斤になります。一斤五円売るとしますと壱万二千六百円となる計算ですから私達グループの永遠の大きな財源だと全員が楽しみに育ててをります。
 以上申しました様に私達生活改善グループが結成されてから今日までに精神的に又経済面にも大きな役割を果たしつつありますことは部落の御協力とグループ員の自覚となお私達グループを直接間接に御指導下さいました諸先生方の御蔭だと有難く厚く御礼を申し上げると共に将来も一層の御指導の程を御願い致しまして私達グループの発表を終ります。
豚飼育の収支決算
期日 購入9月2日 体重 82斤 価格 3,000円 摘要 中豚
期日 売却4月19日 体重 257斤 価格 7,710円 摘要 飼育日数210日 増大重175斤

支出
種目 豚購入 単価 -   数量 82斤 金額 3,000円
種目 ジャコ  単価 25円 数量 1,8斤 金額 4,200円
種目 イモ   単価 1円  数量 1,050斤 金額 1,050円
種目 労賃   単価 70円 数量 52,5日 金額 3,675円
合計                             8,145円
いも 1,050+3,675=4,725円
差引-435円(赤字)
豚の儲けは農家生産物(住)と労賃出とである。

収入
種目 -    単価 30円  数量 257日 金額 7,710円
合計                             7,710円

1時間作業の効果
能率化された
一、女五日間の仕事を一時間で完了する。
一、時間を無駄にするものがなくなった事

経済的に見ると
一、収入一金九、一〇〇円、五月ヨリ十月迄一〇時間の九一〇人分
一、部落豊年祭への寄附五〇〇円
一、学校五周年記念行事に一、三〇〇円
一、グループ備品会席膳購入二、五〇〇円
一、豚購入(共同飼育した)三、〇〇〇円
一、パナナ園開拓経費一、二〇〇円
一、講習会の諸材料費六〇〇円

そのために
一、作業技術が向上した。
一、家族が関心をもち協力するようになった。
一、婦人の融和と智識を高めることが出来た。

集りの鐘の打ち方
戸主 ○○○○〇〇。。。。
生改グループ ○○○。。。。。○○
4Hクラブ ○―○  ○―○
生徒会 ○―○―○―○

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。