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1959年9月発行 読谷村だより / 2頁

人間を作ることが生産性向上の基本-日本の生改普及事業を視察して-

人間を作ることが生産性向上の基本
-日本の生改普及事業を視察して- 

 私は経済局農務課赤嶺康子係と同伴で、本土の最も沖縄に近い鹿児島県における農業並びに生活改善普及事業の実状を視察研修する機会を得た。七月二四日泊港を出発し、翌月一○日帰島するまで二週間余を鹿児島の特殊農家を訪問し、生活改善事業の一端を知ることができました。私の視察研修計画は、県庁農業改良課の生活改善係長様を中心とするプログラムによる日程でありまして、まことに周到適切な計画をお世話いただき、短期間乍らにも、それぞれの特色をもつ地域を現地視察し、或は、課に於いて係長様始め、衣、食、住、管理、各々の専門技術員方の心からなる御説明を拘聴し、深く敬意と感謝の念で胸が一杯になりました。殊に八年生の長い間、生活改善普及員として豊富な経験をもっておられる、日本の典型的婦人である斉藤珠子、児玉昌子、両氏を私たちのテクニカルリーダーとして、御配慮いただいたことは、今回の視察研修を一層有意義たらしめた。視察現地における受入れ体制も、懇切丁寧で、研修目的以外に深い人間的つながりや、戦後祖国を断たれて、十年余の間柄の友情を深めえたことは大きな収穫の一つであったと思います。私は鹿児島の農家訪門中に、しばしば感じたことは、人によって、またその立場によって、その解釈が異るであろうことは云うまでもないが、今日の日本は「人間を作ることが生産性向上の基本」であることが、各方面を通して共通の考え方であるように思われた。普及事業の原理も、直接的には農業生産を増し、農家収入の増加によって生活水準の向上をはかることを、その目標とするが、「技術的に、また人格的に、人間を変える」と云う教育手段によって達せられることで「人間を変える」ことが、普及事業の根本であるとされています。
 結論として、吾が沖縄においても普及事業を打ちだして、最早や、八ヶ年の歳月を迎えんとしている。大東亜戦で、本土と切り放されたことで、普及事業の目標においても、人間生活としても、あらゆる部門にこと欠けていますが、前に述べました「人間を変える」ことが普及事業の根本だと示されているように、生活の改善を目的とするには、私たち、婦人同志が組織活動を充分に再認識し、身をもって、個々の生身の、ものの見方、考え方を、変えるわたくしたちでなければ、
▲三面へ続く

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