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1961年5月発行 読谷村だより / 4頁

みんなでやる生活改善(9)

みんなでやる生活改善(9)
冠婚葬祭について
 とくに結婚の改善は、なんとかこれを改善したいとおもいますが、これをやるには非常に困難であります。なぜむずかしいかと申しますと、これは単一な改善でなく、きわめて複雑な一つずつの部分の改善の組立てられたものであるから私は生活改善を、もう一つ別な角度からみて次のように区分して考えています。
(1) 単一的な改善
(2) 総合的な改善
 簡易水道の施設とか、台所改善などは、それだけの部分を切りはなしても、一応は改善の出来るもので、これを工場製品でいうなら部分品のようなものでありましょう。すなわち、鉄板や釘、ガラス、などのような部分品単一的な製品ですから、素材や生産技術の向上によってそれ自身の品質を単独に向上させることができます。水道や、台所の改善はそれと同じように、必ずしも他の部分と複雑な関連がなくとも、それ自身を単独に改善することができるのでありますが、ところが、結婚改善とか、回虫とかは一つの部分だけを改善しても、それだけでは改善ができあがらない総合的な改善であって工場製品でいうなら、いくつかの部分品を組み立ててできあがる自動車とか、バスとかいったような組立て製品のようなものであります。すなわち、よい自動車をつくるためには、エンヂン、あるいはボディの金属、木工、ガラス、塗料など各部分のよい製品が完成されていなければ、よい自動車の組立てはできないのと同じであります。
 生活改善の場合でも結婚改善でいうなら、配偶者の選定、財産の分与、結婚の改善など各種の部分があって、これらの部分の一つづつが改められていかなければ一応の改善はできあがらない、たとえばそのうちの配偶者の選定について述べますと、よい嫁を迎えることが大切なことですが、よい嫁を迎えるには、水道があり、きれいな台所設備があり、婦人の過重労働が解消されて、魅力がなければこの問題は解決しないとおもいます。そうすると、水道や、台所改善、さらに嫁入りの支度、その他結婚式のやり方に対する各部分品がそれぞれ改善され、これらの部分品が組み立てられて、はじめてこの改善が完成するのではないかとおもいます。
しかもその背後には物的な改善だけでなく、教育啓蒙にある分野が多く、複雑なものであるだけに、この改善ができあがることは、はなはだ困難なこととおもいます。
 また回虫の駆除にしても、薬剤のみに駆除だけではできません、回虫を退治するには水道、台所、便所など一つずつの部分が改善され、こうした改善が総合されてはじめて改善はできるものであります。
 だから、この二つの改善の区分をよく考えて回り道のようでも一つずつの部分の改善をコツコツと順序を追うてやっていかないと、浜辺の砂の上に石を積むように、いくら積み上げても積む片つ端から、波がくずしていってしまうでしょう。
 結婚改善でも、回虫の駆除でも、きわめて必要ではありますが、必要であるということと、これをやる順序とは必ずしも同一でありません。方々の地方でいきなり結婚改善や回虫退治等を生活改善の第一歩として、とりあげられていますが、いづれも非常に普及員は苦労をしていながら、その効果がなかなかあがっていません。
 この総合的な改善を行う前に、まずその前提として部分的な改善をしていないから、その総合改善はうまくいかないものだとおもいます。

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