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1962年8月発行 読谷村だより / 3頁

コレラ予防対策について

コレラ予防対策について
A 感染状況
フィリピンに於いて去る十二日に発生流行を極めたコレラが三月には香港に持ち込まれ三月から四月と大流行を来した。その間発病患者は一○○○名を越え、死者三○○~四○○名といわれ、今又台湾に侵入してすでに五○名の患者を出し、死者三名も出ていると伝へられている。この感染経路については空陸海とる様の場合が考えられるが大宜味朝計先生による香港、台湾何れの場合も漁夫に依り持ち込まれたようである。
B 疫学
コレラの主要な流行は海外から輸入せられるによって起り、それからの伝播は汚染された海水によるものと、上陸した患者保菌者からの二通りがある、従って多くの場合患者は先づ海港に発生し、海岸線に沿って蔓延し、漁夫船員等が犯され、次いで魚介類及び果物其の他輸入食品を介して内部に拡がる。
C コレラ菌について
コレラ菌の海水中に於ける生存期間は平均二日から九日で夏は七日から九日で春秋は四日から五日冬は二日から三日となっている。魚に附着したコレラ菌はエラ、消化管、肛門等に多い。コレラ菌は各種の消毒薬及び温熱に対して弱く摂氏一○○度の加熱では直ちに死滅する。
D 潜伏期間
数時間から五日間で平均三日である。
E 症状
下痢と吐瀉が特徴である。
便は始めは普通の下痢状であるが数回後には米のとぎ汁のような水様便となる、体温は下り患者は渇を訴える、体は水分欠乏の為に皮ふの弾力がなくなり皮ふをつまんで見るに中々原形に復さない。重症のものは、うはごとを云い虚脱に陥って死亡する。死亡率は五○%以上を示す場合がある。
F 予防法
沖縄の如き四面海で漁夫の多い国に於いては空や海から侵入する危険性が強いが特に海を通しての侵入が心配される、その為軍民両政府共之が侵入にそなえて港湾に関係ある仕事に従事する者及び漁民に対し予防注射を行い、又台湾海域への出漁の禁止、輸入食品の輸入禁止等の非常措置が行われている、故に我々は沖縄にも侵入することを予測し万一にそなえて下記のことを巌に実行されねばならない。
(イ)
(1) 魚ろうに従事する者は直ちに予防接種をする。
(2) 患者又は凝めしい者があるときは直ちに医師の診断をうけるようにする。
(ロ) 一般処置
(1) 飲食物に蠅のたからぬようにすること。
(2) 飲料水を煮沸又は消毒(カルキ)し生水をのまないこと。
(3) 蠅の発生を防止すること。
A 蠅の幼虫駆除
(イ) 発生場所の除去(ロ)殺虫剤の散布(ハ)発生場所の定期的処理(汚物の取片付けと埋没等)
(ロ) 蠅の成虫駆除
(ハ) 直接蠅の止り易い場所に殺虫剤を散布する。
(4) 手洗(食前、用便後)の励行
(5) 予防注射をうけること。
(6) ねずみの捕殺撲滅を計ること
(7) 魚の生食を巌に注意すること。

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