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1963年1月発行 読谷村だより / 1頁

新年のご挨拶

新年のご挨拶 
読谷村長 池原昌徳

 一九六三年の輝かしい新春を迎えるに当り村民皆様に謹んで御挨拶を申す上げます。旧年中は村治十五周年、村体協十五周年の記念事業をはじめ、優良議会としての表彰を受けました。その後に小児マヒ、コレラ等伝染病の予防対策もありました。下半期においては村議、立法院議員、村長の三つの選挙が行われましてその何れも重要事業でありました。去年十一月より実施されましたナイキ発射演習も、今までことなきを得ましたし、爆風もなかったので、人畜や、財産及び農作物の被害もなく安心して年越しが出来ましたことは、喜ばしい限りで御座います。今年の元旦は絶好の日向でありました。
晴れ着姿は暑くてもいけないし、雨天もよくないが、うすら寒くて、天気は上々でありました。又農家の皆様は数日前から製糖期に入り、農繁期を迎えて、農作の喜びの中でお正月を迎えられました。ほんとに、スタートから満点であります。とりわけ農家が儲かることは本村にとってこの上ない喜びであります。労多くして儲からないのが農業だと、昔の人はよく言いましたが、今年の甘蔗作は、反収もブリックスも値段も三拍子揃って好成績ですからその喜びは一どおりではありません。今年期は村全体で二二、五○○アールの甘蔗を植付ましたが、その生産高は一五、○○○屯で二七五、○○○ドル収入を予想しており、全村可動者の大半を占めている農家の方々の収入になりますので、本村経済の大きな飛躍だと思います。
しかしながら新春早々、砂糖の貿易自由化の大きな問題が表面化いたしまして農民も為政者も憂慮しておりますが、この問題は琉球経済の重大問題であり、只今政府及為政者によっていろいろと善後策の検討中でありますので農家の皆様がたちゆくよう善処して貰いたく、念願するものであります。
御承知のように本村は一九四六年十二月再建に力強く出発してから最早十八年になりました。終戦後の灰燼の中で政治、行政、経済、教育等凡ゆる面で、困難に遭遇しながら我読谷村民は、性来の理知と愛郷心によって、村建設のために情熱と心魂を傾けて参ったお蔭で古今の文化と、近代的文明の花咲く立派な村を築き上げられたのであります。
 国際的に政治的に特殊事情にある本村において、特に村政に参与する者は常に大いなる視野に立って村民に希望と喜びを与えるための不断の努力を続けねばならないと思います。こうして毎年新しい問題が起り、そして継続事業や、未解決の問題がもち越されて参りますが今年こそは一段と発展の年たらしめるために村長は、村民福祉の増進について、議会は村民大衆の声に基いて、先生は子弟の学力向上について、農民は近代化経営の合理化について、技術員も、商人も、或は青年会婦人会その他の民主団体各位にも各々の立場において、共々に研讃しようではありませんか。
ここに一九六三年の新年を迎えるにあたり、村民皆様の御多幸を祈念しなお村発展のために一層の御協力を賜りますようお願い申し上げ新年の御挨拶と致します。

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