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1963年2月発行 読谷村だより / 1頁

立法院に対する要望書

立法院に対する要望書 
読谷村
一九六三年二月十九日

一、政府道路の早期支拂に関する要請
 戦時中に新設又は拡張された本村内の政府道路となった潰地は、下記の通りになっておりますが終戦後十八ヶ年の間、政府道路となった個人の所有地に対し、何等の補償もなくて地主は大変困っております。
 琉球政府においてもこの問題を重視され、一九六三年度において二万余ドルの予算を計上し、政府道路の調査が行われているとの事でありますが、この計画をもってしても調査期間が三ヶ年も要するとのことでありますから、その支払は一九六六年以降になるかと思います。ところで地主は、今でさえ困っているのに更に期間延長になることはいけないと思いますので、この際「暫定的支払い方法」を講じ、速かに賃貸料の支払を実施下さるよう要請いたします。

六号線 延長六、五○○米 面積一○七、二五○平方米
三号線 延長三、二五○米 面積二三、七二五平方米 W-一六・五米 W-七・三米
計 延長九、七五○米 面積一三○、九七五平方米
地主数 延長二一○名

二、土地調査の早期施行について
 本村は多くの米国軍隊が駐留し、その施設に総面積の約八○パーセントが接収されています。これらの部隊が使用している地域は終戦直後の混乱した状勢の下で行われた土地調査によって作製された図面、土地台帳によって軍用土地賃貸料が支払いされていますが、当時の土地測量は不備欠陥が多く、地主相互のいざこざが後を絶たず、行政的にもいろいろの支障を惹起しています。原形を残さない多くの地域、新しく建設された数多くの部落をもっている本村に対し、土地調査法に基く科学的な測量を早期に実施して戴き、村行政が円滑に運営できるよう御配慮お願いします。

三、軍用地内の護岸施設について
 本村の海岸線の総延長は一四、八○○米で、その中一○、八○○米は軍用地であります。戦後度重なる台風、高潮の為に海岸線が全般的に浸触されて、防風、防潮林が流出し、その上砂利、砂の採取が勝手に行われ、年々浸触される一方です。特に耕地流出で被害を蒙って防護すべき海岸線は四、八○○米に及び、その中四、三○○米が軍用地でありますが国土保全の為に前記海岸線の保全施設をして戴きますようお願い致します。

四、移民促進について
 戦後八重山開拓移住、ボリビヤ農業移民、その他海外移住の途が開かれ、一九五二年に八重山へ一二二名、一九五四年に南米へ二二名を本村から始めて送り出しました。その後村民の移住熱は高まり、年々希望者が増え現在迄に八重山に三○○名、ボリビヤ、アルゼンチン、ペルー等南米に四○○名を送り出して居ります。又戦後フィリピン、南洋群島からの引揚者が九○○名居つて、まだまだ沢山の移住希望者が居ります。八○パーセントを軍用地に接収された本村はもとより、沖縄の現段階における人口問題、経済発展に移民の果す役割は極めて大きいと思われますので移民の促進を積極的に取り上げて戴きますよう要請致します。

五、区長制度の復活について
 昨年市町村自治法の改正により、区長制度が廃止され、従来区長の行っていた村の事務は、事務委託契約により行っておりますが、村の末端行政を担当している部落の事務は複雑多岐にわたり、村の事務を始め農協関係、学校関係、消防、防犯、交通、治安維持等の対策、月間運動、週間行事、成人祭、敬老祝等の社会福祉行事はすべて区長によって行われております。
尚又区長という制度は大昔からあって、これまで市町村行政に大きな功績を挙げていることは、衆目の一致したところであります。
 従って「区長という職名をなくするということは、今後の市町村行政運営上、極めて支障がありますので、早急に区長制度を復活して戴きたい。

六、都屋港の整備強化について
 都屋港は入江になって、網漁業を主とする漁場で、魚類棲息の立地条件に適した本村唯一の漁港であります。一九六一年政府補助により巾一五米、長さ一九○米の浚渫工事を施工し、今年度も舟揚場施設を計画しておりますが、さらに浚渫を加え、突堤施設を施行することにより船舶の災害防止が出来、本村水産業振興に大きな役割を果しますので、善処して戴きたく要請いたします。

七、古堅中校分離に伴う校舎施設の促進について
 読谷区教育委員会では教育振興のため、現在の古堅小中併置校を分離して中学校敷地の移転を計画し、一九六三年一月十六日付でもって認可されましたので同校移転に要する校舎一五教室分の予算措置について特別の御配慮を賜り、早急に移転出来るようにして戴きたい。
学校移転地
読谷村字伊良皆三二○番地
敷地面積
七、七三八坪(購入済)
一九六三学年度在籍予定六五九名

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