読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1963年4月発行 読谷村だより / 1頁

産業共進会褒賞授与式盛大に催さる 式辞

産業共進会褒賞授与式盛大に催さる 
納税全部落完納の好成績

 本会は一九六三年度の産業共進会褒賞授与及び納税表彰が去る三月二十五日ひる一時半から読谷沖映館で盛大に催された。式は開式に引続き、審査報告、納税成績の報告があり賞品授与の後、総合成績優秀の宇座区に優勝旗が授与された。続いて村長式辞、来賓祝辞があって式を閉じ、その後祝宴にうつり余興に楚辺出身の比嘉ホーレスターズの出演により大へん賑かで午後六時終了した。

式辞 
読谷村長 池原昌徳

 本日一九六三年度の産業共進会褒賞授与式を挙行するにあたり琉球政府経済局長、琉球農連氏、尚村外、村内の来賓各位の御臨席を賜わり、また会員多数の御賛同を戴きまして、かくも盛大に本式典を挙行出来まして、深く感謝申し上げます。
 さて共進会の目的は御承知のように過去一ヶ年間に於ける村民経済と、農家経営の実態をまとめ、この催しを機会に農家及び村民所得を倍増しよう、というねらいであります、そういう意図のもとに一九五一年から共進会を催し、今年で第十三回を迎えました、回を重ねるにつれ、そのもち方も改善されて参りましたが今年も三日間の日程をもち、農産物農産加工品、家畜及び手芸品の展示会、各種行政統計に基く図表の展示、更に今年から家庭電気品の展示即売会を加えましたが、ここで教えられるものは、古くからの品物と、新しい品物の価値、長い経験をもつ人と、経験の浅い人々の成績がどうなっているか、又、部落民の協力状況、農協の利用状況、文化の発達がどうなっているか等が、重点事項であります。
 昨年は台風の襲来は免れましたが、旱魃がありまして、農作物の出来栄を気にしておりましたが、村民各位の生産意欲の向上により、耕地面積が増加されました、農業近代化運動の推進により甘蔗、甘藷等の主要作物において、格段の増収を見せており、更に堆肥も肥育豚も昨年と比較して相当の延びを示しておりますことは、村民皆様と共に喜びに堪えません。
 次に本村の産業形態を調べて見ますと耕地総面積七三、二九○アールで農家の一戸平均耕地面積は二七、八アール(約八○○坪)にして、その経営規模は極めて零細であります。それから産業別就業人口の面では全就業人口八、六○○人中農業、漁業人口が五一%の四、二○○人、総戸数の割合では六二%が農家でありますので本村における第一次産業こそは基本産業として重点的に推進しなければならないと思うのであります。この秋にあたり、読谷村農協においては、理事及び職員はじめ、全組合員の結策により購買、販売、利用、営農、貯蓄等着々と実績を挙げ、堅実なる運営に向って細心の努力をつづけられていることは、本村の第一次産業の振興に、大いにプラスするものであり、この機会に関係者各位に深く敬意を表します。
 次に村財政について申し上げましょう、本村の予算は遂年増加の一途を辿り、一九六○年度より二○万ドル余の予算で運営しております、才入財源を分類いたしますと、自主財源と依存財源に区分されますが、本村は毎年約八○%の自主財源が確保されております。特に強調したいことは、本村の歴代先輩為政者のお方々によって築かれた貴い財産は、今ドル箱となって村財政に豊かにしているのであります。納税の方も我々の先輩によって打ち立てた「納税優良村」の伝統を再び打ち立てるべく戦後十八ヶ年、納税思想の昂揚に努めて参りましたが、其の間村民皆様の深い御理解と各字の区長さん、議会の皆様のたゆまざる御指導、御協力により遂年その成績は向上しつつあるのであります、よって今年こそ多年の念願叶って、全村「納税完納」の実現を見ることが出来本村の誇こる上もありません。
 この尊い、皆様の納めていただいた税金の使途については、議会を尊重し、村民皆様のために、効率的に運用する所存で御座います。
 くり返すようでありますが過去一ヶ年を振り返って見ますと、私達の日常生活も非常に変ったと思うのであります。電灯がつき、ラジオが普及されたのは長くなりますが、テレビや電機洗濯機等の家庭電気品をはじめ農機具のトラックター、耕耘機等の機会化農業もどんどん進められました、更に衣、食、住の面、村内道路、農道、排水等の基本施設も着々と整備改善されました。わけても家庭電化と、近代住宅は大したものであり、大通側も部落内を見ましても美しい立派な住宅が多くなりましたことは実に喜ばしい限りで御座います。しかし又村民の中には今尚、みすばらしい家に住み、台風や、寒波におびえながら、貧しい生活をした方々がかなりおられます。働き手を失ったもの、年老いたもの、或は病弱で困っている人々の暮しを引上げることは私共全住民の責任だと思います。働ける人、職を持つ私共は、うんと働いて所得を倍増し博愛の精神をもって貧しい人々を扶け、更に青年会、婦人会、生改グループ公民館等その他民主団体の運営を活発にして、村民等しく栄え行く、豊かで明るい村、平和で住みよい読谷村建設に邁進したいと祈念致します。
 これまで本村のために御指導、御鞭撻下さいました琉球政府、並米国民政府、御当局、琉米親善委員会各位に対し深く感謝申し上げ、村議会、村民皆様の尚一層の御協力を御願申し上げまして式辞と致します。

一九六三年三月二十五日
読谷村長 池原昌徳

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