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1963年9月発行 読谷村だより / 3頁

!養豚経営も時代に即応させ家庭を富まし村を富ましょう!

!養豚経営も時代に即応させ家庭を富まし村を富ましょう!

 私達は今次大戦の終結によりまして裸一本から出発し村民の皆々様が凡ゆる困苦を凌ぎ今日あるを御同慶に堪えません時代は戦災の復興から発展の段階に入っていると承って居ります。扨て時代は日進月歩とか云いまして水はつるべの時代から手押ポンプモーター付ポンプ水道と物凄い勢で移り変り又夜間の灯も石油ランプから角々迄電気が点灯され更に家庭では冷蔵庫電気洗濯器電気炊飯器テレビ、ラジオ、ステレオ等記載すれば用紙も足らない程あって戦前私達か夢をも見なかった事が実現しているのではないでしょうか而るに私達の養豚の状況は何如でしょう。
 戦前は一ヶ年に一頭飼育するのが普通の農家ではなかったでしょうか。現在でも前途しましたような時代に即応した養豚とは絶対に言えないと思います。本年度の六月末現在の当村の豚の飼養頭数は五千頭台に下って居ります。原因としては六○年振りの冷干害による農作物の不作と甘蔗作ブームにもあろうかと思いますが今一つは豚価の安定しないことにも大きな壁はあろうかと存じます。
 生産量が過大になると物価は下落し又その反面生産量が下落し又その反面生産量が減少すると物価は上昇するのは世の習いでありますが一九六二年八月に此の保護政策として豚価安定法が制定され公布になって居ります。此の安定法によりますと政府は毎年四月に那覇における豚価を基準として豚の最低基準価格をきめることになっていてこの基準価格以下に豚価が下落したり又は下落する恐れのある場合はこの最低基準価格で豚価の安定をはかろうということになっています。それから政府が買上する豚はどんな豚でも買上するかといえばそうではありません。買上する肉豚とは優良繁殖メス豚の証明書を所持している母豚から生れた肉豚で九十瓩以上一二○瓩(オス)豚の場合は去勢されたものでなければいけないようになって居ります。
 斯様な事から今後は飼育する豚は母豚であれば優良豚子豚あれば優良母豚から生れたものを飼育するとたとえ生産過剰になっても政府の買上によって或程度の損失が妨げることと思います。優良豚とは次のようなものであります。
①生後十三ヶ月以上で分娩したメス豚であること
②沖縄家畜登録協会の登録を受けたものか又は優良同一品種の血液が半分以上混っているもの
③生産子豚頭数が七頭以上のもの
④生後七週間において子豚の一頭平均体重が十二瓩以上であるもの等が優良繁殖メス豚として証明書が公布されるようになり証明書の有効期間は三ヶ年となって居ります。前途の様に豚価の安定法及び施行規則も出来ましたのでこんどは私達は時代に即応する養豚は何如にするかと云うことになりますが従来の一、二頭又は四、五頭のだぶ飼いについては、燃料その他の労費等改善の道はなかろうか飼育管理の改善が急務だと思います。そこで一九六三年度の追加更正予算壱千弗を計上し早生種の甘藷苗農林十七号南国アキホコリヨギムラサキの四優良品種を普及と品種の改良にスタートし従来一ヶ年一作又は二ヶ年三作であった養豚飼料の甘藷作を一ヶ年二作にして品種の改良と多収穫を目標とし併せて時代に即応した養豚経営の多頭飼育の準備に追車をかけて来た次第であります従来からのだぶ飼で四、五頭に要した燃料費とその他の労費と同一の労費で施設に若干の手を加えると四、五十頭の養豚(粉餌飼育)が出来るようになっています。多頭飼育によって生産コストが安くつくことは申し上げる迄もありますまい。諺にあるたびかぢもうきり、かぢからもうきり正にその通りではないかと思います品種の改善経営の合理化を計りたのしい家庭に致しましょう。
(経済課長)

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