創意工夫を結集して「富多家栄に」
　村民だより第八六号において社会の総てが物凄い勢で進んで来ているが農家の養豚経営の状況は時代に即応していない今後は是が非でも時代に即応した品種の改良と多頭飼育とその経営の合理化を計るべきであると申し上げましたので今回は品種の改良の点と経営の合理化の一端を申し上げ度いと思います。扨て品種の改良から申し上げますと従来チェスターホワイト　パークシャー　ヨークシャー　ハンプシャー　十六ヂアヂー等相当数の品種が優良品種として導入されて来ましたが当村では現在皆さん良く御承知のようにチェスターホワイト種が保存され、その他は殆どが雑種であります。此の度琉球政府畜産課及び琉球農連の斡旋によりまして、アメリカミゾリー州トリンブル、トリンブルマナー養豚場からランドレース種が第一便を六月に第二便を七月に第三便が八月に相当数の優良種母豚用が導入されました。
　採食量から申しますと従来飼育として来た豚は幼豚が体重の五パーセント、中豚が四パーセント　成豚が三パーセントの基準飼料が与えられて生後八ヶ月－九ヶ月で九十Ｋ（一五○斤）にして豚の本能という場所と申しましょうか、まな板に上っているのでありますが此のランドレースは幼豚に体重の四パーセント、中豚に三パーセント、成豚に二パーセントの基準飼料を与えて生後五ヶ月で九十㎏（一五○斤）程度になるといわれています。又母豚の産子数も従来の豚は平均七－八頭といわれていますがこのランドレース種は平均十一、七頭と発表されています。菜食量が少ない上に太りは早く胴体が長いので上質の肉も他の豚よりはるかに多い斬様な好利点によりましてランドレース種の優良豚を御奨めするものであります。
戦後豚が少い頃はラードの多い程需要者も好んでいたのでありますが時代と共に庶民も赤肉を好むようになりました事は皆々が既に御承知のところと存じます。近頃ＳＩ（ランドレースと善通豚をかけたもの）も相当数生産されて居りますがその発育状況は実に上々であります。

　次は飼育管理について
私達が従来やって来ましただぶ飼ではせいぜい四、五頭位いで山であったのですがこれでは時代に即応した養豚とはいえません。その一日の飼料とする甘藷を畑から掘って来て炊いて朝やると又次の準備で一日中腰を休ます暇もなく又燃料等も相当な費用がかかりましたがこれを改善していもフスマの乾燥飼料に切替えて行きますと大体同一労力と若干の施設を改善すると四、五十頭の飼育が出来兼業でなく専業にすると一人で百四十頭は大丈夫飼育管理が出来るようになりました
　今後生産コストの問題点等から考えて是非共この粉餌飼に改善しなければならないと思います。この件については当村でも実施を試みているのでありますが充分見通がつきました。それで粉餌に使用する誰でもすぐ出来るいもフスマの製造法を登載いたします。
いも利用法としては、①そのままの利用　②貯蔵しての利用　③サイレージとして利用するとか色々ありますがいもフスマの製造をして貯蔵して使用する方法を申し上げて見ます。乾燥とは表面から水分を蒸発させることで生理的に加工して広げ天気を選んで晴天の場合にやるのが最も適切であります。いもばかり磨砕に入れると相互に粘着するので水分を吸着するフスマのようなものを混ぜ合してやり夏の好天気には一日で水分含有十六度程度で完成されます。又曇天になったり不時の悪天候の場合は二日も干す事があることは既に経験済であります。この方法は琉球畜産試験場で考えられたもので今迄の飼料のうち一番製造がやり易くいもとフスマのものは七ヶ月程度迄保管できると発表されています。その製造の要領は原料いも一○○㎏を水洗して磨砕に入れフスマ二○㎏を水洗して磨砕に入れフスマ二○㎏を混合し屋根のスラブか土間でむしろ等をしいて干して前述致しました天候に注意をして製品とします。与え方はその儘与えて後で水を与え炊く必要はありません。いもフスマの組成分はどの位いの成分かと申しますと、水分十一、七パーセント　粗蛋白質八、六パーセント　粗脂肪五、二パーセント可容無窒素物五八、二パーセント粗繊維四、八パーセント粗灰分一一、五パーセントで飼料成分の上からは大麦等穀類に相当する価値があるとされています。尚現在圃場にあるかづらとフスマを利用して乾燥してもすばらしい飼料が出来上ります。
　此の場合は大体かづらはいもより水分の含有量が多いので、かづら六○㎏にフスマ二十㎏程度を使用しますと適当と考えられます。此の場合いもフスマの様に一回では仕上らないので最初はかづらのみ磨砕器を通して二回にフスマと一所にやると立派な飼料が出来上ります。成分も、いもフスマとは、大差はありません。では次に飼料の標準を示しましょう。
経済課長

！！飼料の標準を示しました統計は三面に記載してあります！！