読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1964年1月発行 読谷村だより / 2頁

読谷村農協役職員一同 

読谷村農協役職員一同 
代表 神谷 乗敏

 村民の皆様明けまして御芽出度う御座居ます。辰年の新春を迎えるにあたり、平素農作業に御励みの皆様に農業協同組合の役職員を代表して、御慶びを申しあげます。一九六三年は、内外共に農協にとって変化の多い年であり、農連第二工場の新設の悦びも束の間に、西原KKと農連第一工場との合併問題から端を発し、開金借入金百万弗返済となり、追い掛ける様に、軍の手入れ、金融検査部の告発に及び、山城栄徳会長の辞任、そして農連役員の総辞職、更に政府は全琉農協に対し改善命令を出す等又、中金役員も総辞職と云う状態に突入し、農協を運営するものの一人として苦難な一年で然も冷害と干害が重って農家を襲って、特に読谷の様な土地では人智の及ばない手のつけ様もない程の窮状に追込まれるままに年が暮れた次第であります。
 然し乍ら、外部において斯様な事でありましたが、当組合に取りましては、新春を間に合わして、兼ねて懸案の事務所並に倉庫が見事に出来上り旧年内に完成致しました事は組合員の皆様の御協力の賜と深く感謝申し上げている次第であります。戦後十八年農協は農家の協力の御蔭で年々才々発展の一途をたどって参りました。今後共尚、農業の発展を図る為にトラックターを導入し、皆様の省力に意を払う傍ら、畜産の面にも省力の為めの粉飼々育の奨励、購買貯金、販売代金の振替の奨励等直接農家に取って利益の上る様、常に努力を致しておりますので新年度は旧に倍する御指導御支援の程伏して御願い致します。
 さて今期の製糖も去った十二月十八日から始まっていますが、反収の激減は思ったよりひどくてがっかりなさって居らるると思考致します。せめてブリックスの方は良い様であり相場が割合いに良い様でありますので、力落しなく御精励下さいまして、この辰年は去年の分まで豊作であります。養豚の方は相場が上昇しこの分でいけば畜産読谷万才であります。けれどもあがったら下る世のためしでありますので、吾々は上ろうと下ろうと引き合う様な技術を修得し、不事に供える覚悟が必要だと思います。又農連第二工場の株式への切り替えと云う当局の考え方に対しては、この工場だけは資本家に渡さずお互全琉農家の手にしっかり握り糖業百年の計を打樹てるべき重大な時点に立たされている事を農家の皆様は充分認識され、後に悔いのない様にして頂き度いと思います。紙面の都合もありまして事の次第を充分御説明出来ませんが、近日お当局と一体となり部落毎に常会で説明申し上げて御協力を得たいと思っております。去年のキビの利用配当も屯当り九○仙でありましたが、来る決算総会に図り処理致しますが、今年度は農連側の話からすると去年の数倍の利用配当がある見込みを立てて居ります。
 キビ代は同じでも他の会社は利益があれば、株主が配当を取るのはあたりまえでありまして、何も農家からとやかく云う事はありません、けれ共農連はその株主と云うものは全琉の農協即ち農家が主人と云う事が云えるのであり、あげた利益を農家が受取るのは当然であります。その当然を振切って他の工場に搬入すると云う事は常識としては考えられません。
 今申し上げた様に吾が第二工場は機械も優秀で利益を上げ得る工場である事はあきらかであり皆様がこの工場にたくさん搬入する事が利益の泉になる事を認識されまして、甘言にまどわされぬ様御注意が必要だと信じます。我々は農家を擁護する使命をもつ農協役職員として組合員の一層の協同精神を固めて、すべての難関にうちかち農家組合員の生活の向上と安定を守る態勢を確立致すべく、和哀協力一身同体となって努力する事御ちかい申し上げ年頭の御挨拶と致します。

※写真「新装なった読谷農協」は原本参照

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