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1964年3月発行 読谷村だより / 1頁

第8回財政公表 

第8回財政公表 
予算の執行状況、収入の状況、財産の現在高 その他の財政状況について
 前回(第七回)の財政公表では主に才入の中味について詳細に公表しましたが、今回は財政の構造を分析して本村の財政を見極めることにしたい。
 市町村財政の良し悪しは常に論議されるところであるが、何を基準に良否を論ずるか、色々と問題のあるところである。
 その団体の財政運営の巧拙の面から見る方法もあろうし、あるいは、財政力の有無、財政構造の良否の面からする論もあるであろう。しかし、このように各種各様の見方もそれぞれ意味のあることであるが、財政の健全性を診断するには一つには財政運営の堅実性(実質収支の均衡)二つには財政構造(体質)の健実性三つには適当な行政水準の確保、この三つの要素の検討が最も便利であり、またこの三要素の一つが欠けていては、真の健全財政とはいえない。
 それで今回は、この三要素を検討して本村の財政事情を眺めることにする。
1.財政運営の堅実性について(実質収支の均衡)
 財政運営の堅実性は、収支の均衡の状態と、その推移に端的に表現されるので別表第一の決算状況の推移を参照して検討することにする。
 先ず、市町村財政の収支をみるには、少くとも年度年度(単年度)の財政の収支が均衡のとれた状態で運営されることが必要でありこれを基にしながら長期にわたる財政収支の均衡を保持することの努力を忘れてはならない。
 財政運営の結果は、各年度の決算に示されたものに村の財政収支の状況が確実に反映されているとはいい難い。というのは、市町村の会計制度が現金主義の建前である関係上、決算は結局各会計年度における現金のみの収入、支出を示すのみに止まる。しかも、各年度の決算で示される収支もその年度末までの財政収支の累積結果であるから、各年度の収支の中には、前年度までの収支結果も当然含まれているのである。
 それで単年度(一会計年度)の収支結果を見るためには、その年度の収支から前年度の収支を控除しなければならない。さらに、このように操作する収支結果に現われない黒字又は赤字の要素のあることも注意しなければならない。それは積立金の積立が黒字であり積立した積立金の取崩しが当然赤字要素であることはいうまでもない。
 以上の操作を試みて、村の財政収支の均衡を容易に理解するために別表第一に表してみたが、一九六三年度の収支を見ると、形式収支一六・六二一弗六仙(三欄)これから予算繰越額の一・八二七弗(四ノ一欄)を差引いた実質収支が一四・七九四弗六仙(五欄)であるが先にも述べたように一九六三年度の収支一四・七九四弗六仙の中には前年度までの収支結果も当然含まれているので、前年度のそれを(二四・七九五弗四仙)を控除しなければ一九六三年度限りの単年度の収支はでてこない。
 このように単年度の一九六三年度の収支は赤字の一○・○○○弗九八仙(六ノ一欄)という収支結果である。さらに、積立金の積立取崩しを操作して実質的な単年度収支の結果は九・七六二弗九八仙(六ノ六欄)の赤字をだしたという結果になります。
赤字の生じたことは、過去の剰余金、■■■積立金を食いつぶしたことであるが、市町村財政の需要(経費)の増加は、常に増加収入をはるかに上まわる傾向にある。従って常に前向きの行政を意図する限りにおいては、増加収入の大きい年度には、その一部を後年度の財源として保留し、収入の少い年に備えておくことを心掛けなければならない。
 かかる心掛けで、財政運営に常に意を用いて財源を留保し、収支均衡の状態を見究め、少なくとも単年度収支結果は、検討反省しなければならない。
2.財政構造の健全性について
 本村の財政規模は数年来二○万弗内外で近隣市町村に比較して、総体的に豊かな財政力をもち、各年度の収支結果(形式収支)で相当額の剰余金を生み、財政運営の面からみると前項で検討した状態である。
 ある年度においては、単年度実質収支に赤字を生ずるも保留財源を補って財政調整をなし、適切に運営されて来たといえる。ここでは角度をかえて財政の構造(体質)がどうなっているかを、別表第三によりながら検討することにする。
 別表第三の財政構造の状況表は、一九六三年度決算による分析であるが、この一九六三年度決算に現われる財政構造は過去からの財政運営の集約的表現でありまたこれから後の財政運営の出発点でもあるので本表に表われる本村の財政構造の状態を見ることによって財政健全化のための重要な手がかりとしたいものである。
 表を見る前に、市町村の財政構造の健全性とは何を指しているのか、その分析と見方の説明を進めてから表の検討に移ることにする
(1) 財政構造の分析について
 市町村財政においては、その経費が義務的食彩の強い経費によって大きな部分が占めされ、かつ、その義務的経費が遂年増嵩の傾向をはらんでいる。そして、その財源は、政府支出金や寄附金のように特に使途の定められた「特定財源」と市町村税や市町村交付税のように使途の特に定められない「一般財源」とに分れる。この一般財源は、どのような事業に充当しようとその市町村の自由であるので「自由財源とも呼ばれている。
しかし市町村の経費には、義務的食彩濃淡や、経常的に毎年支出しなければならない経費、あるいは単年度限りの経常等の性質の差があって、一般財源(自主財源)といえども完全に自由な財源とはなり得ないもの

※「第一表普通会計決算状況の推移」については、原本参照。

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