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1964年4月発行 読谷村だより / 4頁

はなしのサロン 屠肆 神谷毅

はなしのサロン 屠肆
神谷 毅
 旧の十二月二十七日がやって来ると
農家の広い台所は
にわか屠殺場と化する
二百斤余りの豚が
家族や親戚の手によって切開される
・・・これが腹膜であれが胆嚢
むこうのが胃それに小腸だ
先祖伝来の屠り方が教えられる
だが一年たつと又忘れてしまう
 新正運動は下火を露呈し
一方では旧正絶対固守の無言の態勢
新正が終れば今度は旧正
おまけに輸入品のクリスマスと
年中お祭りムードで湧ききたつ
その雰囲気の中で
旧正景気の鐘をたたいて
部落中に小さな屠殺場が繁昌する。
一九六四年三月六日

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