読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1964年7月発行 読谷村だより / 4頁

将来の住民の福祉はどうあるべきか

将来の住民の福祉はどうあるべきか
 はじめにごく要点を申し上げますと、第一に将来の住民の福祉はどうあるべきか。第二に幸せを高める為に住民の側での活動をうまく伸ばして行くにはどうすればよいか、この二つの点の中に現実の問題をおりこみながらすすめてみたいと思います、そこで将来の住民の福祉というものはどのような形になって行くか、ということを考えてみます。しあわせというのはよく衛生の方でいわれますように身体のしあわせ、心のしあわせ、世の中のしあわせ三つが一緒にならないとしあわせとはいえないと思います。身体の健康、精神の健康合せて社会の健康といわれますが、いいかえれば社会の健康ということと同じであります。ですから身体の健康と心の健康と社会福祉を高めることが健康を守る条件です。最近各地で事例発表や優良部落の視察が盛んにおこなわれています。よりよい姿をお求めになりますとAの方の事例発表とBの方の事例発表は時間がだいぶちがっていてAの方の事例発表は相当進んだ段階での組織活動をやっていますBの方はもうちよっとおくれた段階でやっています。これを比較しますと自然われわれはその地域の事情を知らないものだからやっぱり一番進んだ形でなされているところがいいと思ってしまいます。実際は五分や十分の短い時間で地域の実情がいえるものではありません。私たちは本当にお話しをきくにはその奥にある地域の社会的背景をはっきりつかまないで評価することはできません。皆さんがたが部落外あるいは村外の優良地区を視察にゆきます。
あんなに有名だった、優良部落が今は不衛生でカとハエがたくさんいるという状態になっております。その時の優秀な指導者がいろんな事情で地位をさられ、そのために統制ができなくなってまた元のような状態になっているという地域もあるわけであります。すなわち組織活動(公民館)は生きものであって登り坂ももあれば下り坂もあるということも考えていただきたいと思います。地域の事によってちがう登り坂も下り坂もある。このようなことをお含めになってご視察いただきませんと結果ばかり見てくることになり本当の勉強にならないのであります。それではこれからの福祉住民の福祉活動はどうあるべきかということをもう少し考えてみますと世の中が高まり経済力がだんだん高まってきますと、税金も多く取られるようになって自然国家や政府が社会保障や公衆衛生の仕事を直接やってあるいは地方公共団体が住民にたのまないで直接仕事をやって行くことになります、たとえば農村では清掃やドブ掃除などはみんな住民がやっていますが都市地区になりますと役所や区役所がゴミ取りまでみんなやってのけることになって国家や政府の責任によってだんだんと社会保障公衆衛生は運営されてゆくようになります。しかしそれはそうなるんだからといってほってよいものではなく行政の中で考えるのですから行政官が善意で考えたとしても住民のニード(要望)には手がとどきません。かゆいのは左の方だよ、右の方だよという人がいなければこれは充分に住民のニードにこたえてはもらえないわけであります。そこで自分のかゆいところ(ニードとすべきところ)はどこだということを役人にしらせたりすることがでてくるわけであります。そういう意味から何んでも政府や役所にまかせておけ、公衆衛生は保健所にまかせておけというのではなくて自分達のニードとするところをはっきり認識するとあるいは、しらせるという役割りが当然住民の間だにでてくるのであります。これは制度が充実すればするほどこの事を高くしなければならないのであります。
それでは次にそのニードがどのようにしたら出てくるか考えて見ますと、単にかけ声や旗でもふりまわしながらわあわあいえばよいのか、そんなことでは通ずるはずがありません。やはり本当のそのかいところ(ニード)へ手がとどくには自分たちのくらしのことで何んかやってみることによってあんがい今までうっかりしていたけれどもということがあるわけです。たとえば保育所の保母さんが病気で休まれしかたがないから近所のお母さんがたが当番でお手伝だいに行っていた、そしたら外から見ると手もよごさないで子供と一日チイパッパアオルガンをひいて遊んでいる保母さんというのはいい仕事だと思っていたのに一人一人くせのある子供がいてそれを何んとか一日あやしているんだからあんなにつかれる仕事はないと身をもって体験されでしょう。そういうことで保育事業のよさというものがわかっていただけると思います。衛生の問題でもやっぱり自分で直接ハエならハエを取ることをやってみると家の中にいるハエでさえ気になって来るのであります。いずれにせよやってみて自分でできることは自分でやり自分でできないことは、えんりょなくこれを大いにこうしてもらいたいという声を高めてはじめてお互の村が幸福で明るい豊かな村になるのではないでしょうか。
以上研修講義内容から取りまとめてみました。
社会事業係
知花徳盛

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