はなしの泉
ウフソー 新垣 生雄
われわれが日常話している方言の中には、本来の意味を離れてその逆に使われている場合がある。
そのひとつに「ウフソー」ということばがある。「ウフソー」の「ソー」が性(こころ)を意味することであろうことは、その言葉の内容から大体の想像はつく。
たとえば、「ソーイラー」は心や魂がはいった人、すなわちしっかり者を意味するし、又その反対に「ソーヌガー」は性の抜けた人で、そそっかしい者や忘れっぽい人の意味に用いられている。
さて「ウフソー」の「ウフ」は大きいということだから「ウフソー」はまさに大きい性、すなわち大きい心を持った人の意味になると思うがどうだろう。
しかし実際には、そそっかしい者、マヌケ者等の意味等に用いられているのはおもしろい。
ときに「ウフソー」を「カニハンダー」と同じことばに使用する人がいるが、両者には大きな質的相違がある。「カニハンダー」の「カニ」は大工の使う「曲尺」からきた語である。
すなわちそれは「カニジャク」の意味で、正しさを測る物指である。したがって「カニ」とは、「正確」「正しさ」を意味するので、それが「ハンデタ」人、すなわち正確さを失った人。もうろくした人を意味するのである。
世の中では、このようなことばが人知れず無意識のまま共通語?として使用されている。
現代人の多くが、こまかいことに気を配りすぎ神経を疲労させノイローゼ的傾向にある時、大たん不敵で、ささいなことに、こせこせ、びくびくしないウフソウ的性格がうらやましいものは多かれ、少なかれいるものだと思う。