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1974年11月発行 広報よみたん / 11頁

大きな視野でこの子らを 高志保婦人会 比嘉幸子

大きな視野でこの子らを 高志保婦人会 比嘉幸子
 今日、教育の問題ほど多種多様で、深く広いものはないと思います。
 まして私は、教育専問家やその道の権威者ではない一主婦でありますので、教育についての詳しい知識や経験はたいへん浅いものでありますが、私は私なりに主婦としての立場から、又二児の母親として、私なりの考えを述べたいと思います。
 さて、去年の夏のことでありました。旧盆で名護の実家へ里帰りした私は、北部で高校教師をしている弟が叔父と何やら論じ合ってぶつぶつなげいているのに出合いました。一体なんの事だろうと、耳をすまして聞いてみますと、今の世の中はまったく狂っているというのです。それでは何が狂っているのかといいますと、まず高校教育の現状を聞かされ、あ然としました今の教育は学力万能主義で以前に比べて程度も大部高くなり、生徒も、なかなか追いついていけず、実際についていけるのはたったの八パーセント位で、残りの九二パーセントは、その時間だまって机の番でもしていねむり等をしていれば良い方で、ひどい生徒になると、男生徒はタバコを取り出したり、さもなければ授業のじゃまをしたり、女生徒になると、今度はマニキュアをしたつめをいじくったりして遊んでいるというのです。それを聞いて私は今の高校生の学習に対するかまえが大部変ったものだと思いました。そういう事は、私達の世代には全然考えられなかった事であり、時代が変れば、人の心も変り、世の中のすべてのものは皆移り変って行くものだと、ただ安易に考えていました。
 ところが、どうでしょう去る六月十日に行なわれた字婦人会主催による、コザ家庭裁判所の家庭調査官によるお話しの中に、義務教育を受けている一中学生、それは女生徒ですが、程度の高くなった学校教育について行けず、家庭では両親の期待が余りにも大きく、結局は学校と家庭との板ばさみになって苦しみ、とうとう学校へ行くのもいやになって、しまいには家出をし非行を重ねて挙句の果ては少年院へ送られてしまったと言うのです。
 何んと悲しいことではありませんか。そとで、この事は幾多のある青少年問題のごく一端であって、現在の世の中には、毎日の新聞を見ても御存知のように、青少年による窃盗、強盗、さらには、婦女暴行、にんしん模合、自殺、高校生や大学生による殺人に至るまで、ありとあらゆる問題がころがっています。
 何んとおそろしく悲しい現実の姿でしょう。一体、私達はそれでいいのでしょうか。私達のかけがえのない子供達をそうさせていいのでありましょうか。
 そこで私は、今一度教育というものを真剣になって考えてみなければならないと思っています。教育とは一体何であるのか、知識のつめ込みだけが教育なのかそれとも、少数の英才児だけを育てるのが教育なのか能力以上の難しい問題を子どもに解らせようたってそれは到底無理でありましょう。
 現在の英才児教育だけを目ざしている国の教育行政に私は大反対です。それにもかかわらず、大量の劣等児や非行児を生産している国や学校にだけ、私達の子供に教育をまかしてはいけないでしょうか。今こそ、私達母親は一丸となって立ち上がるべきです。
 教育とは人格の完成を目ざしているものであります。そして教育はあらゆる機、会にあらゆる場所において行なわなければならないとされています。
 私は思います。どんな学力の低い子でも、又どんな身体の不自由な子でも、その子にも必ずその子自身が持って生まれたすばらしいものがあるにちがいないとですから私達母親は、常に子どもたちとの対話の機会をふやし、その中から、子どもの個性を見つけ出し、子どもひとりひとりが、何ものにもかえがたい星であることを行動をもって、子ども自身にも植えつけ、自信をもたせ、将来への夢をふくらませるような母親となり、又、社会への目を向けて、常に向上する親母、子どもから信頼される母親になって、みんなで手をたずさえ、今、なやみ、苦しんでいる子供もたちの良き指針となりうるように努力しなければならないと思います。このたゆまぬ母親の努力と温かい情熱で、私達は子供たちをいつくしみ、はぐくんでいかなければなりません。それこそ本当の教育だと私は信じています。
 いつの時代においても、母のやさしい愛、励まし、そしていたわりこそ何ものにも勝る偉大なものであると私は堅く信じてやみません。何も机の上の学習だけが教育ではありません。私達母親は、いつも正しい人生観、世界観、価値観とを持って、これからの将来を担う私達の子どもたちを、皆で力を合わせて、育てていこうではありませんか。子どもたちの幸せのため、又社会のため、国のため、いいえ全世界の人々の平和のために!!

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