年ごとに華美になりがちな”冠婚葬祭”。しきたりや物質が優先する社会より、心情を温め合う社会の構築を求め、諸行事の簡素化合理化の実践に向け「読谷村生活合理化運動推進大会」が五月二十八日午後、村中央公民館に構成10団体、約一五〇人が参加して行なわれました。
これは、家庭、職場及び地域社会を通じて、対話や自主的な活動によって生活課題、地域課題を解決していく運動を行ない、最も適した生活の合理化及び地域環境の確立を図り、楽しく明るい生活、地域社会を築くための村民運動を展開することを目的に開催されたもの。
開会の冒頭、主催者を代表して会長の山内村長は「己自身の生活を自ら苦しめる冠婚葬祭を見直し、生活の合理化を押し進め、合理化運動を閃光花火に終らせることなく、継続した運動を展開しょう」と挨拶。
続いて神谷正賢村老人クラブ会長は「経済的にゆとりのない人達が借金をしてまでも交際をしていくというふうに、現在は生活合理化の意識が薄れ、見直す必要がある」と指滴。また、松田敬子沖縄県新生活運動推進協議会推進委員は、県内の幅広い実践運動を事例をあげて報告。その中で「運動は気長な運動になる。しかし、誰かがやらなければならないことであり、継続してこそ実を結ぶものである」と提唱した。
生活合理化推進大会は、これまでの経過報告、規約の制定、役員等を全会一致で承認し、併せて、「諸行事の簡素化、合理化の実践事項」を確認しました。
私たちは、日々の暮らしの中から、”無理・無駄・見栄”を見直し、生活合理化運動を村民一丸となって押し進め、高齢化社会と言われる21世紀を、ゆとりと豊かな社会に築きあげましょう。
見直そう日々の稟[らしを!
-読谷村婦人会長・宜保サカエ-
昭和六十一年から昭和六十三年まで「生活の合理化推進」の趣旨の下に、渡ヶ次区が貯蓄実践地区の指定を受け、グループ活動を通して日々の生活を見直そうと合理化に向って進めて参りました。
グループ員二十名を対象に六ケ月間の統計をまとめてみました。
その結果、昭和六十一年度の読谷村の一人当たりの年間所得は、村統計によると百四十二万円ですが、そのうち冠婚葬祭費が二十九万千六百三円で全体の二〇、五三%を占め、教育費が三五、一五%となっております。
子育て真最中の私達、親にとりまして生活費は勿論、まして教育費の問題を抱えている時期に、この交際費の出費はとても負担で家計のやり繰りに四苦八苦となり、どんなに共働きしても追いついていける状態ではありません。
でも、人間として生を受けた以上、初年期・青年期、そして老人となるまで「冠婚葬祭」はさけては通れない行事でもあります。
また、その他の生活費は六十二万五百九十三円と、総所得の四三、八五%となっておりますが、私達をとり巻く現在の社会情勢を考えてみますと、あまりにも厳しく、衣・食・住の問題など、諸物価は上昇する一方で、収支のアンバランスが目だちます。
このままでは、これから生活して行くのに、とっても不安が募ります。
このような、日々の生活の中で、精神的・物質的な援助は、お互いもちつもたれつ、の繰り返しでありますが、先程の統計を見ますと、交際費にあまりにも「無理・無駄・見栄」があるように思えませんか。
葬祭の実例に少しだけ触れてみますと、その方は、御主人が亡くなり、諸行事の簡素化のきまりにより、香殿返しを廃止しましたが、近所では従来どおり花輪や香殿返しが行なわれて。決められた事を守った方はとても肩身の狭い思いをしたという実例もあります。
ですから、地域でどんなに取り決めをしても、やはり実践することの厳しさを痛感致しました。
「葬」は人生の最大の悲しみの厳粛な儀式で「死」という事実を踏まえた行事だけに、その葬儀は誰もが大切にとり行なって上げたいのが遺族の心情と思います。
悲しみにうちひしがれている時に、やれ香殿返しのハンカチや、法事の時の贈り物などと、突然やってきた不幸に、無理と見栄がうかがわれませんか。
このように、地域におきましても様々で、いくら取り組んでも村全体上げてやらなければ、実行する事は難しい現状ではないでしょうか。
交際すべて、贈る側、贈られる側も負担過重にならないようにみんなが守れる最少減の金額を定める心要があると思いませんか?
高齢化が進み、社会問題になっていますが、今、私達の目前にさしかかっている老後の生活生計さえ考える事の出来ない深刻な時代になってきたように思います。
経済大国・日本といわれていますが「我が家の暮らしは決っして豊ではありません。」
農村地域と都市地区との所得の格差は、都市地区が当然高いのですが、しかし、交際費は逆に農村地域が派手のように思われます。
私達は今、暮らしを見つめ直し、諸行事の簡素化に取り組むべきではないでしょうか。
家計を守る私達婦人は、他人の目、口を気にせず、自分達の暮らしを守るため、自分の意志で決められた事は実践していく必要があるのではないでしょうか。
私も組織を担うものの一人として、スローガンのもとで諸行事の簡素化を推進して行きたいと思っております。
皆さんと共に力を合わせて、明るい住み良い、豊かな環境作りに邁進して行こうではありませんか。