一、はじめに
第三回目の沖縄の基地問題解決訪米要請団は、大田昌秀知事を団長とし、山内徳信村長、高山朝光県政策調整監を副団長として、総勢十五名(県十一名、読谷村は村長と読谷飛行場転用対策課係長の長浜功勇君、ハワイ・東恩納良吉氏、ニューヨーク・仲地政夫氏)で構成され、要請期間は六月九日~二十二日までの十四日間でありました。
読谷村は、解決課題としての「読谷補助飛行場問題」を抱えていることもあって、三回にわたって参加させていただきました。読谷村議会の深い御配慮と積極的な姿勢と御協力の賜であります。ここに村議会の皆さまをはじめ、村民各位に厚く感謝申し上げる次第であります。
今回の訪米要請も、沖縄の米軍基地の整理縮小や基地から派遣する諸問題の解決について、米国政府、議会関係者及び米軍当局に直接訴えると共に、米国のマスコミや記者会見を通じて広く米国民に対し、沖縄の基地問題を解決するための理解を深めることを目的とした要請でありました。
特に、来年(一九九五年)が太平洋戦争・沖縄戦終結五〇周年の節目に当たる重要な年であり、五〇年にわたって米軍基地の重圧に耐えてきた県民や村民の心情を率直に訴え、併せて、沖縄県民の人権の問題であり、産業経済の発展や街づくり、村づくりの大きな障害となっていることを強く訴え、この節目にあたり、①那覇軍港の返還、②読谷補助飛行場におけるパラシュート降下訓練の廃止と同飛行場用地の返還、③県道一〇四号線越え実弾砲撃演習の廃止等、三事案を中心に強力に要請を展開して参りました。
三回とも継続して要請に加わった市町村は読谷村だけであり、その成果は、村民が新聞等で既にご承知の通り、六月十六日東京における日米合同委員会で、「読谷補助飛行場の返還に向けて、技術的問題を検討していくための特別作業班の設置」が合意されました。米国政府国務省も知事や村長の要請に対し「特別作業班の設置」を回答し、引き続き「解決に向けての努力をしていく」と答え、積極的な姿勢をみせました。
二、各要請先の対応
(※読谷補助飛行場を中心にまとめる)
(1)米国政府関係機関
国防省(ケント・ウィーデマン次官補代理)と国務省(トーマス・ハバード次官補代理)、(クリントン大統領宛の要請文は、国務省経由で届けてもらうよう託す)に要請しました。
先ず、知事及び村長からの五〇年の節目に当たり、三事案の具体的解決を求める強い要請に対して、国防省は「読谷補助飛行場については、パラシュート降下訓練の移設及び楚辺通信所の電波援衝地帯の問題の技術的解決を検討する必要がある。いずれにしても、三事案は日米合同委員会などを通じて引き続き検討し、解決に向けて出来るだけの努力をすることを約束する」と回答した。
国務省は「日米合同委員会を通じて、地元に与える基地問題のマイナスの影響、摩擦を最小限に止めるよう、問題解決のために努力していく」「本十六日、読谷補助飛行場の返還に向けての技術的問題を検討していくための作業班の設置が、日米合同委員会において合意されたことが示すように、引き続き解決に向けての努力を行っていく」と回答した。
国務省の回答を受け、三事案の中でも解決に向け、トップに立つことが出来た嬉しさを胸の中で静かに噛み締めていた。
これも、今日までの村民の主体的、継続的、創造的な闘いの成果であり、満身の喜びが表現できる日が一日も早くくることを祈るものである。
(2)連邦議会関係者
ダニエル・イノウエ上院国防予算小委員会委員長、リック・フィン上院軍事委員会スタッフ(サム・ナン委員長補佐官)、ロナルド・デラムス下院軍事委員長、ニール・アバクロンビー下院軍事委員、ロバート・アンダーウッドアジア太平洋委員会副委員長(下院軍事委員)、ジェイムズ・クーター基地閉鎖・再編委員長(下院の専門機関)等を中心に、それぞれの専門官を含めて要請を受けて下れた。
回答のいくつかを報告しますと①「沖縄の懸念はよく分かっており、自分は今後とも最大限努力することを約束するが、タイミングが悪い(北朝鮮の核問題)-イノウエ」②「沖縄の基地問題解決を図るために、国防省に対し、一定の期限を付して調査するよう勧告する法案を可決した(一九九五年度国防認定法)。この法案が求めていることは、(1)不必要な施設の返還、(2)環境・経済への影響調査、(3)地元の人々の生活状況が改善されるよう必要とあれば、基地施設を移設することである。-デラムス委員長、アバクロンビー」。
③「沖縄の基地の実態を知って同情している。安全保障上、基地をおいているが、沖縄だけに基地を片寄らせることはないと思う。これを是正しなければいけないと思う。日米で沖縄基地の存在の適否について再調査、分析する必要がある。日米政府による沖縄基地の再調査をさせることが極めて重要である。読谷補助飛行場の演習場は危険な状態であることは知っている。私も出来る限りの援助をしたいと思うので、村長も尚頑張って下さい。-クーター」。
以上の如く、沖縄側の訴えに耳を傾け、国防認定法を可決した下院の動きに敬意を表し、上院でも同法が可決されることを期待するものである。
(3)米軍関係
カールE・マンディ海兵隊総司令官、ヘンリー・スタックポール太平洋艦隊付海兵隊司令官、マーク・ハミルトン海軍太平洋軍副司令官、ロバート・フエアフィールド太平洋空軍副司令官等に要請しました。
六月十日(金)午前十時、ヘンリー・スタックポール海兵隊司令官(ハワイ)を訪ねた。お互いに知り合いの間であり、「ガーバナー大田、ヤマウチさん」と親しみを込めて呼び、司令官室に迎え入れて下れた。
知事より「大戦終結五〇周年を迎えて是非三事案を県民に見える形で解決してほしい」と要請した。村長より「スタックポール将軍に要請しますことは、昨年と同じく、読谷補助飛行場の返還の件であります。来年は大戦終結五〇周年であり、問題解決して長く沖縄の歴史と読谷の歴史に誇りある記述が出来るように、読谷補助飛行場の返還に最後のご努力を賜りたい」と印象に残るように要請した。
これに対し、スタックポール将軍は「読谷補助飛行場の件は日米共に検討していて、解決に向け大きく動いている」と回答された。
今日まで読谷村が主体的に問題解決に向け努力した分だけ、他の事案より解決の先頭に立っているとの印象を強く受けました。
※続く。