読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1994年9月発行 広報よみたん / 7頁

【見出し】よみたんの民話 ハブ報恩

 むかし、マカーという娘がおって家が貧しいためにある金持ちの家で女中奉公をしていました。
 ある日、そこの女主人が、「あしたはウユミでもあるし豆腐でも作ろうか。マカーや、海で潮を汲んできておくれ」と言いつけました。
 マカーは桶を取ると、いつもの道を通って海へ行きました。
 そして、夕日がやがてしずんでいく海をあとに、ヨイショと桶を担ぐと家へ向かいました。
 行きはなんでもなかった野原が、帰りはパチパチ音をたてて火の粉があがっていました。その中で長いものがくねりかえっていたので、なんだろうとよく見ると、ハブが火の中でもだえ苦しんでいました。マカーはかわいそうに思い、汲んできたばかりの潮を急いでかけて助けてあげました。
 でも、このまま奉公先へは帰れないので、もう一度海へ潮を汲みに行きました。
 もう日も暮れかかって、マカーが出てからだいぶ時間がたっていたので、帰ると、「どうしたんだ!おまえは。潮を汲みに行かすと、こんなに長い時間かかって、寄り道していたのか」
と、叱りとばされました。
 マカーは、今しがたあったことを主人に話しました。
主人は、
「ハブがどうなろうと関係ない。それを助ける人がどこにいるか」
と言いました。
 その晩のこと、マカーの主人はちょっと庭に出たあいだにハブに咬まれてしまいました。主人はもう「痛いよう、痛いよう」とすごく苦しんでいます。
 マカーは主人の側へ座って
「そんなに痛むのですか」
と、介抱してあげると、痛みはとれるのだが
「おまえは早く仕事をしてきなさい」
と言いつけると、ますます痛みはひどくなりました。主人の痛みはどうしようもなくなり、またマカーがきて、
「それほど痛いのですか、もうどうしましょうか」
と、心配して座っていると、痛みはとれたりしました。
「あゝこれはおまえがハブを助けたと言っていたが、きっとそのハブがわたしを咬んだはずだ。おまえが助けたハブはちゃんといきていたか」
「はい、生きていました」
「やはりおまえが助けたハブがわたしを咬んだにちがいない」
「ハブにも何か分かるのでしょぅか、ただかわいそうなので助けてあげただけですが」
と言って、マカーは謝りました。そうしている間、マカーが側にいるだけで痛みはありませんでした。 主人は、「ハブは神の使いなんだなあ。ハブだからといって見殺しにすることはできないね」ということが分かりました。
 マカーは「主人を助けて下さい」と、ハブにお願いをしました。すると、主人の痛みはすっかりなくなりました。マカーは、お礼にたくさんのお金をもらい、もう女中奉公もしなくていいと、家へ帰ったということです。

   注 ウユミ
     折目、節日。年中行事のなかで、生産休養日の遊びをともなう収穫祭や予祝行事の日。

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