近年、急速に都市化が進む本村では、各家庭から出る生活雑排水は海にたれ流され、海域の汚染が深刻化している。
このため、村では水質保全ほ緊急性から公共下水道事業をスタートさせ、現在、楚辺区において「土壌浄化法」を取り入れた小規模分割型の下水処理場の建設に着手している。
環境にやさしい下水道
本村第一号の下水処理場の建設は、平成五年十月に楚辺区(池原玄夫区長)でスタートし、工場は順調に進歩している。土壌浄化法と呼ばれるこの施設は、汚水の処理は地下で行われ、施設の上部は土壌や芝生で覆われるため、工事が完成すると土中の状況を見ることが出来ない事から同区では二月十二日午後、「施設内容の見学会」と「水環境講演会」を催した。
見学会には多くの老若男女が工場現場を訪れ、施設を見学すると共に、担当者(建設課の職員)らの説明に熱心に耳を傾けた。
夜には昼の見学会に引き続き-ユーバンタをよみがえらせ未来へつなぐ-をテーマに「水環境講演会」が開かれ、糸数慶子県議会議員(本村の喜名区出身)や寺田麗子沖縄テレビキャスター、木村弘子毛管浄化研究所長ら三氏の講演が行われた。
公民館には約百人の区民が集う中、講演に先立ちあいさつした池原区長は「ユーバンタ(楚辺海岸の愛称)はかつて海水浴の適地できれいな海であったが、下水の流れ込みで汚れてしまい、ユーバンタを甦らせようとの発想から下水道を導入した。みんなで昔のような豊かな海を取り戻そう」と語り、山内村長は「村では、きれいな読谷の環境をつくり、沖縄のきれいな海を守ろうと環境美化推進条例(ポイ捨て禁止条例)を制定した。私達の努力できれいな海にしていこう」と呼び掛け、講演では糸数県議が「生活すべてが水とのかかわりで」、寺田キャスターが「沖縄の海・川シリーズに携わって」、木村所長が「手づくり下水道のすすめ」と題して講演。先ず、県議の立場から自然と環境問題に取り組んでいる糸数さんは、自分の幼少の頃の原体験(川遊びや木登り)を振り返りながら「生活の中での豊かさや便利さを求めるあまり、その代償として台所の洗剤や廃油などで川や海の素晴らしい環境を自ら汚染している」と指摘し、「環境を守るためには家庭の中の一人ひとりが、小さなこだわり(油の処理方法など)と今ある環境を守るという自覚を持ち、水と生活を正しく見つめ、自分の足元から環境を変えていくことが必要」と説き、また、十四年間もの長きに渡って『河川環境シリーズ』をテレビ取材してきた体験を通して、寺田さんは「河の汚染(洗剤やゴミ)状況でその地域の生活者のくらしぶりが分かり、各地域で川をキレイにしようという住民運動が起こってきた」とその成果を報告する一方で、「今私達の食物はすべて外国からの輸入に頼っている。異常気象で輸入できるとの保証はなく、そのしわよせは必ずくる。そのときには自給自足をしなければならず、いざという時のために健康で食える自然(海)を甦らせ、魚の獲れる海を取り戻そう」と力説。そして”水の医者”を目指していきたいという木村さんは「モデル事業となっている読谷村の下水道(土壌浄化法)は、全国で一番大きな施設である」と話した上、「沖縄の問題は単独浄化槽(便所の水のみを処理)の維持管理がなおざりにされ、台所の生活雑排水や味噌汁(三万BOD)、天ぷら油(百万BOD)などが海にたれ流され、自分たちで汚染している」と指摘。更に「水質汚濁を防止する解決の手立ては下水道。だが、下水道(処理場)には維持管理費がかかる事を認識し、ゴムなどの流してはいけないものは自分達で取るよう心掛けていただきたい」と強調していた。
【土壌浄化法とは】
土壌浄化法とは、し尿や生活雑排水などの汚水を土壌の持つ自然の浄化作用で処理する方法。土壌の中には様々な生物が生息し、これらの微生物(バクテリア)は汚水を分解して浄化する力を持っていることから、その力を利用して汚水を処理しようというもの。この処理方法は建設省や農林水産省でも認められ、全国各地で脚光を浴びている。
在来の下水道に比べて経費も安く、地方都市や集落がいくつにも分散してい農村部に適している。維持費の低い小規模汚水処理施設で、①地下六十㌢~一㍍に合成樹脂膜などによる「下透水槽」を作り汚水の浸透を防ぐ②粗砂などを敷いた上に汚水を浸透させる管を通す③さらにその上に通気性、保水性のある土壌をかぶせる。-などが主な構造。これにより汚水が直接地下に浸透するのを防ぎ、再び微生物の活発な地層に戻して浄化させる。いわば土の力で脱臭し、水をきれいにするという、自然の摂理に沿った簡単なシステム。
本村で建設されている楚辺処理場は約三千坪。一九九六年に前面共用開始の予定で、処理施設の上部は公園化が計画されている。