読谷の自然75
昆虫類【トンボ類】17
カラスヤンマ(オニヤンマ科)
メスのハネが黒い特異な種で、愛好家にとってあこがれのトンボです。体長約七五㎜、大型のトンボです。体は黒色で黄色の縞があります。ハネが黒いのはメスだけで、オスのハネは無色、ハネ先と基部に小さな褐色斑があるだけです。和名のカラスヤンマはメスのハネが黒いことにちなんでいます。
ヤンバルを代表するトンボで、沖縄市あたりが分布の南限です。読谷村では垂川やサシジャー周辺で見ることができますが、数がひじょうに少なく、なかなか見つかりません。
渓流にすみ、ヤゴはゆるやかな流れの砂れきの底に浅くもぐって生活します。成虫が見られる時期は四月から八月上旬です。未熟な成虫は森の上を群れて飛びます。メスが青い空をバックに悠然と飛ぶ姿は美しいものです。
カラスヤンマは沖縄島だけに分布し、別亜種アサトカラスヤンマが慶良間諸島に、別亜種ミナミヤンマが奄美諸島から四国・九州に分布します。
文・沖縄県ミバエ対策事業所小浜継雄、写真・日本蜻蛉学会 山本哲央