読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

2007年8月発行 広報よみたん / 3頁

県産アニメ 世界へ 9年間の思い 32分間に凝縮!!

県産アニメ 世界へ 9年間の思い 32分間に凝縮!!

 双子の人形アーティスト比嘉兄弟(兄:一哲氏、弟:之典氏)が、9年の歳月をかけた人形アニメ映画「鉄の子カナヒル(原作:儀間比呂志)」を完成させ、タイで開催されるバンコク映画祭(主催:タイ政府観光庁)への出展が決定しました。
 バンコク映画祭は、2003年から始まり今年で5回目。昨年は、長編・短編を合わせて、世界各国から200本以上が出展され、10日間で、約3万人の観客を動員しました。
 映画祭への出発を前に、比嘉氏はプロデューサーの入江貞四郎氏とともに安田村長のもとを訪れました。
 比嘉兄弟は波平出身。子どものころからCMのアニメーションやSFXに魅せられ、人形アニメ作家デビッド・アレンらの作品との出会いをきっかけに渡米を決意。高校卒業後バイトなどで資金を貯め、人形アニメの本場ハリウッドへ渡りました。ハリウッドでは、自ら制作した作品を片手に各スタジオを回り、世界トップレベルの特撮技術や特殊メークを学びました。
 人形アニメとは、人形を少しずつ動かしながら、ひとコマひとコマ撮影するアニメーション。撮影に時間と手間がかかり、撮直しも容易ではないのですが、登場人物の動きの自由さにおいて、独特の表現力を持ちます。
 映画化された「鉄の子カナヒル」は、まだ沖縄に鉄がなかった時代、鉄の体で生まれた子「カナヒル」が、ある日、乱暴者の鬼にさらわれる。そこでカナヒルは思いがけない力を発揮する・・・という物語。映画制作には、比嘉兄弟の他に、弟の秀年さんが映像のデジタル加工を、照明は父の清喜さんが協力するなど、まさに比嘉家の手作りの映画となっています。
写真説明 ▲映画「鉄の子カナヒル」のワンシーン。村の子どもらにカナヒルがはやしたてられています。
右:安田村長に人形について説明する比嘉兄弟。村長も興味津々。
比嘉兄弟・入江プロデューサーに
直撃インタビュー!

Q
 人形アニメとの出会いは?

比嘉 「恐竜100万年」という作品との出会いがきっかけですね。そのころは小さかったので、着ぐるみではない何かが画面の中で動いていることを不思議に思っていましたが、中学生になって、「おかしなおかしな石器人(デビット・アレン作)」という作品を見て実際に自分でも画面の中で動いている人形を作って動かしてみたいという思いになりました。

Q ハリウッドでの活動について
比嘉 世界のトップレベルのすごさに驚きました。アメリカに行く前にも人形を制作していたのですが、『これではいけない。がんばらねば』と思いました。はじめは英語もしゃべれなかったので苦労はしましたが、各制作スタジオのスタッフに助けられて世界レベルの技術を学ぶことができました。

Q 「鉄の子カナヒル」の制作にあたり特に苦労したことは?
比嘉 脚本や絵コンテの作成です。原作者の儀間先生の世界観を表現するには、先生との調整や確認作業が必要だったので、どうしても時間がかかってしまいました。また、撮影にはいっても1秒間で24コマ必要ですので、根気が必要でした。途中で本当に完成できるのかな?と思ったこともありますよ。

Q 約9年の歳月をかけて完成した作品への思いをお聞かせ下さい。

比嘉 育ててきた子どもが、手から離れて独り立ちしていったような思いです。これから多くの方々に見て楽しんでもらえることを期待しています。

Q 入江プロデューサーにお尋ねしますが、比嘉兄弟の第一印象はどうでしたか?

入江 初めて比嘉兄弟にお会いしたときに、作品を見ないでも彼らを信じられると思いました。それは真剣に映画制作に取り組んでいて、熱意も行動力もある、このような人たちがいい加減な仕事をする人たちではないと直感で思ったからです。

Q プロデューサーの立場から比嘉兄弟の作品の魅力はどのようなところですか?
入江 最近の映画は、コンピューターグラフィック(CG)を多用したものが主流となっていますが、視聴者はそのCGに目が疲れているように思えます。その点で比嘉兄弟の作品はアナログで、スクリーンからは、人間の暖かみが感じられると思います。

Q 今後の作品づくりへの意気込みをお聞かせ下さい。
比嘉 今後はもう少し短い期間で作品を作っていきたいと思います。またアニメではなく特殊メークを利用した実写映画を撮ってみたいと思っています。

入江 プロデューサーの立場からは、すばらしい作品を大きなマーケットへ出展して、比嘉さんたちが次への創作活動にうつれるような資金的な体制の確保を図りたい。

 
比嘉兄弟の作品「鉄の子カナヒル」はバンコク映画祭をかわきりに、県内外で上映が決まっており、9月には、比嘉兄弟を招いて、読谷村文化センターで上映会&トークショーを予定しています。
写真説明 バンコク映画祭について語る入江氏
     映画祭でレッドカーペットの上をかりゆしウエアで歩く比嘉之典・入江両氏

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。