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1961年7月発行 読谷村だより / 2頁

本土の視察研修報告書 その二 

本土の視察研修報告書 その二 
代表者 池原 昌徳

◎熊本県菊地郡大津町

△ 大津町は熊本市の東方阿蘇山の西南方にあって昭和三十一年、六ヶ町村の合併により誕生したところで四九の行政区があり人口役二万一千人、世帯数四千四百戸、総面積九五・七六平方粁で農林業を主とした町であります。議会議員の定数は、二二人にして、総務委員会六人、経済委員会五人、文化委員会五人、土木委員会六人の構成による常任委員会と事務局職員二人により運営されております。

△ 役場機構については三役の外に町長室二人、収入役室四人、総務課十一人、戸籍課六人、税務課十五人、土木課七人、経済課十一人、厚生課九人、水道課六人、保険課七人、それから議会事務局職員一人、農業委員会職員四人、教育委員会事務局職員十七人、学校関係世話人二三人、計一二七人であります。また行政委員会として町建設委員十五人、山林保護委員六人、国民健康保険委員十二人、民生委員二七人、教育委員五人、社会教育委員七人、固定資産評価審査委員三人以上七つの専門委員会が町長の傘下にあるし法令に基き設置された監査委員二人、選挙管理委員四人、公安委員三人によって町行政が運営されております。
尚従来五ヶ所にあった役場支所を廃しそのかわり自動車を購入して行政事務の浸透とサービス、行政の向上に努めております。

△ 教育行政については県下で優秀といわれる大津中学校を訪問いたしましたので、そのあらましをお知らせいたします。
 この大津中学校は昭和二十六年に創設され新らしい学校で生徒数約一、五○○人にして町内中学三つの中で最も大きい学校であります。敷地の総坪数は一一、八七五坪で建物のほうは既設坪数一、二三一坪、それに増築六三○坪を計画しており、現在のところ木造建築が七○%、スラブ葺三○%でありますが校長室、職員室、事務室、保健室、図書室、放送室、生徒会室等立派な設備と豊富な教材備品があり全校舎に渡り廊下あり更に一九四・五坪の講堂兼体育館、横二十メートル縦五十メートルの日本水泳協会公認プールあり、六十人乗りのスクールバス一台、乗用車一台所有しております。ところでこのスクールバスは昭和三十三年に購入したといわれ、その費用は国庫補助一三五万円町費八五万円PTA五○万円計二七○万円(七、五○○弗)で設置され二K以上の遠距離地域生徒の通学用に常時利用されて居りますが、その運営はPTAの事業で四k以上の場合は免除しそれ以内は生徒一人月百円(二八仙)のバス賃を徴しているとのことでした。

◎ 広島県芦品郡新市町

△ 新市町は広島県の東南部に位し国鉄山陽線に沿った福山市の北方約一七粁の地点にあって昭和三十年二月四ヶ町村が合併して東西七粁南北一二粁総面積三四・○七平方粁、人口約二一、○○○人の町であります。土地の地目別調査表によると総面積三四、三四○反の中、山林が二一、五三○反で六二・七%を占め田四、八二五反で一四・一%畑一、六九五反で四・九%宅地一、一六九反で三・四%公用地三、六一二反で一○・五%その他一、五○九反で四・四%となって農耕地たる田畑の一世帯当り耕作面積は三・五反の狭隘であるため必然的に備後絣その他家内工業の方向に転行し繊維工業を中心とした備後絣で有名な町であります。

△ 産業構成については世帯総数約三、八○○戸の中農林業一、九八○戸(五二%)工業五三○戸(一四%)商業四八○戸(一三%)其の他八一○戸(二一%)となって断然第一次産業が多いけれども町民分配所得の方では第一次産業(農業、林業)が一八・五%第二次産業(建設、製造業)が四一・五%第三次産業(卸小売金保業、運送業、サービス業公務)が四○%の割合で前者と比べて不均衡の状態にあるがこれは農家でありながら家内工業が盛んであるために生じた数字であると思われます。

△ 教育について本町は次表に示す通り小学校四、中学校一が町立で県立高校一、私立高校一あって各校とも交通の便によく位置がよく旺盛な研究意欲をもつ教員が揃っており、明治以来教育熱の盛なところと云われる恵まれた環境にある。しかし最近産業の急激な発展に伴い人口が著しく増加したため校舎狭隘の問題をかもしているが町政当局と教育関係者、PTA等の異常な理解と旺盛な教育熱によって劃期的な借置がなされるようとのことである。
 各校の特色を見るに「常金丸小学校」では新時代に則する道徳教育、基礎学力の充実に努めており「綱引小学校」では昭和三十一年二一六万円(六、○○○弗)をもって給食舎施設を完成し現在週五回の完全給食を実施、更に子供銀行を設置して貯金総額二二○万円(六、一○○弗)の驚異的記録を立て、また全国習字コンクール賞と共に二つの大臣賞を受けている。「新市小学校」では、中央中学校、新市保育所、新市公民館と相並んで本町の教育センターに位し、現在広島大学科学教育研究分室の指定校となっている。「戸手小学校は数年来、国語、理科の研究に主力を注ぎ今後更に情操教育を進めている。
「中央中学校」は昭和二十七年以来、連年、基礎学力、社会科の県の指定校となり、学習指導のモデル校であると共に生徒の自治活動も活発であり最近PTA寄附一○○万円余(約三、○○○弗)を得て新楽器を購入し三○名のブラスバンド

※写真「大津中学校体育館 左から堀本教頭、次が福地先生(沖縄出身)」
表(各校の特色)原本参照

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