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二、馬一六四、豚三、六五○頭で家畜単位でみるとやや本村と同じ位で、現在町の計画によって山地開発が行われ、果樹園に変りつつある。又畜産業も盛んで町営の豚のセリ市場で毎月二回豚のセリ市が行われている
学校は小学校九、中学校四、県立高等学校一その他町立図書館があって蔵書三、三○○冊で貸出巡回文庫等により拡く一般に利用されている。
尚同町の重点施策は次の通り
① 新町建設計画の遂行
② 新農山漁村建設事業実施
③ 町民福祉更正教養施設の完備
ひるから総務課の広報統計係長の永山敏氏の案内で午前中話し合った町の産業視察を行った。ついでに吹上職業訓練所を訪れた。同所は県立で職業訓練法に基いて、求職者又は雇用労働者に対して必要な技能に関する公共職業訓練を行い工業その他の産業に必要な知識技能を授け、もって労働者の職業の安定と地位の向上を図るとともに経済の発展に寄与するのが目的とされ訓練科目は板金科、自動車整備科で定員は四○名、訓練期間は一ヶ年で専門学科、基本実技の外普通学科の社会、数字、物理、科学、体育も一七○時間から一八○時間教えており特典として
① 授業料不要
② 器工具、材料等実習用具は無料貸与
③ 旅客運賃割引及び学生割引定期制の発行が受けられる。
④ 失業保険、訓練手当受給資格者及び生活保護法適用者は引続き夫々給付が受けられる。
⑤ 修了後の就職はあっ旋される。
終了者は就職率も一○○%でひっぱりだこだという
二日間色々とお世話になり午後五時吹上町を発った
三月一四日木
樋脇町の議会傍聴
今朝六時起床、交通機関は沖縄のようにのんびり何時でも乗れるものじゃない。七時三○分発の川内行バス乗車の為早起き、昨晩のアルコールも覚めず少々きつい。バスはラッシュ時前で案外空いている。埃だらけの町も早朝は静まりかえって清い空気が吸え気分爽快、町を外れ農山村に入る。のどかな田舎風景、素朴な住い、杉や檜木の大木の景観一目に写る百姓の暮しは外観と対象的に幾多の隘路が横たわっているようだ
九時川内着、凄く冷え込んだ。手足の爪先、耳がひしひし痛む。たまり兼ねて手袋を買ってはめる。ここでハイヤーに乗りかえて薩摩郡樋脇町へ、細い道路を六○粁のスピードでとばす。一○時二○分前に町役場に着いた。早速議長の宮田実氏と事務局長の田代氏に迎えられ、議長室で開会迄懇談、一○時本会議傍聴、議場は吹上町に劣らず素晴らしく丁度一般質問で活発な質疑応答がなされていた。午前中傍聴お昼を議長と一緒にとりながら懇談、その後事務局長の案内で町長の肝付兼照氏に挨拶した
町勢の概要は人口一万二千人で戸数二、八五○戸、耕地面積一、二六九ha(田七六四ha、畑五○五ha)で農家一戸平均は六○a、産業別人口では農業が七三%も占めている。 主要農作物は水稲、陸稲、裸麦、小麦、甘しょ等で一戸当りの生産額は二二万円、販売額一二万円となっている。
樋脇町の本会議
樋脇町議会は法定数二六名、条例定数二二名、現在数二二名事務局職員三名で常任委員会は総務財政委員七名、経済委員七名、文教民生委員七名となっている。又年間の議会運営状況については議会運営状況については議会開会数九回、議案件数は町長提案一六三件、議員提案二件、其の内原案可決件数一五八件で修正可決件数二件、撤回その他五件となっていた。本日の会議は一般質問になっていたが、質問の方法は通告制によって、予め質問事項を書いて町長に通告しておいて応答を受けている。又議案の付託については議会は関係委員会に議案を付託し、委員会で徹底的に審査、審議をなして本会議に於て委員長が審議の過程を説明して、質問には委員長が答弁に立っている。
予算議会は、五○件以上の議案が提案されているが、ほとんどの議案が即決で行われている。従って最後には予算議案とそれに関係のある議案しか残らないといった状況であったが、有形無形にして大変参考になる点が多かった。樋脇町議会は、議決機関も執行機関も対等の立場から建設的に相協力して自治行政の運営がなされていた。
事務改善によって事務の能率的処理
また同町役場の機構をみると町長、助役、収入役、教育委員会、農業委員会、総務課、税務課、経済課、住民課、建設課等が設置され地方行政の近代化、自治運営の能率化等が盛んに説かれ諸制度の改善が次々行われ地方自治の自主性及び自律化を達成し、地方自治の確立を期している町である。又役場内に於る事務改善の一例を見ると文書の集中管理、集中管理分散方式で文書の送致簿のみ転記しその他は一切転記は行わず、小型の処理カード及び浄書、回議案用紙により整理し保存は一○進法に基く分類記号によりバインダー整理を行っている。
会計簿票の改善についてはこれまでの会計制度、組織は帳簿式体系をとっており現金出納簿、才入簿、才出簿、の主要帳簿、税外収入調定簿、予算差引簿の補助簿がありこれらの補助簿は証憑書類あるいは帳簿から帳簿へ転記によって記帳が行われている。従って重複記帳が非常に多く才出簿においては款項目節に同一の金額を四ヶ所にも記帳している
尚転記から転記のため転記誤りがある場合これ等の発見に時間と労力をついやしている。此の様な複雑な事務を改善する為、伝票会計方式を採用していると肝付町長は話して居られた。例えば各課で発行される伝票がそのまま合綴されて帳簿となるので記帳が遅れることがない。又伝票を複写するので転記事務が省略され必要な帳簿が一度に作成される等此の様な伝票会計方式を採用してから大変事務能率が上り、余分な労力は別の方面に振り向けられるとのことで町長は張りきって居られた。又同町の予算総額は一一六、一八八千円で町税が二一、一七八千円で総予算額の一八・六%、一世帯当りの負担額一、四一四円、一人当り三三七円となっている。
農業構造改善事業を協力に推進
議会の質疑応答から拾った話が同町の産業は七三%も農業で占め乍ら、二○才から四○才迄の最も生産性の高い層の人が町内にとどまるのは僅かに二六%程度で殆んど都市に出稼ぎに行き、農業は老令女子化している。これについて町長の見解はとの質問に対し町長は農業構造改善事業を大きく打出し、町内の樋脇と市比野の農協を合併させ、農家個々の総べての番皆調査を行い、これを基に町の基本目標を樹立、農業生産が一段と向上するように努力し、農家の経済基盤を確立したい。その為には町有林、県有林の払下げ等を考慮し耕作面積を拡張したいとの答弁だった。
又町内各学校に未だに屋内体育場がない事で追求され、既に普通教室の外に特別教室、室内体育場施設にふみきっている点では沖縄の方は遅れている。学校は小学校五、児童二、○二八人、中学校二で一、一一八名、高等学校一一三三九名で視聴覚教育に一六粍、八粍映写機二台で八二部落の巡回映画を実施し、その他幻灯機、テープレコーダーを有し、視聴覚広報活動を盛んにしている。
また同時に酒造工場一、製材業六、製瓦工場三、粘土瓦工場七、製茶工場三の小規模な工業があり町の需要に応じている。
ひるから総務課の管財係長福元純孝氏の案内で産業視察、二、三年来山地開発により果樹園芸を行い、温州、水密桃、夏柑その他を作付、生産額は七九万円に達しその他に蔬菜園芸、特用作物等がある。
又保健衛生施設として母子健康センターが昭和三六年に完成町民に広く利用されている。町長始め議会の皆様の世話で一日中有意義に過ごし、町役場の車でバス停留所迄送られ午後四時三○分同町と別れた。