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1965年1月発行 読谷村だより / 1頁

謹賀新年 1965年元旦 農業振興計画の実践

謹賀新年 1965年元旦
農業振興計画の実践
読谷村長 池原 昌徳
 村民の皆様、明けましておめでとうごうざいます。輝かしい一九六五年の新春を迎えるにあたり本紙を通じて、村民各位に、謹んで年頭の御挨拶を申し上げます。
一九六四年もいろいろの事柄と共に何時の間にか過ぎ去り、新しい年を迎えて、過ぎし年を振り返り、そして過去の経験を基に、新しい年の心構えや一年の計をうち立てておられることと存じますが、本職も、私なりの見方で過去の歩みを重ねそして今年の抱負を述べて見たいと思います。
 昨年は世界及び本土並みに琉球に於て変動の激しい年でありました。
即ち米国に於ける大統領の選挙、ソ連、イギリス、印度、イタリヤの政権交替、本土では池田さんから、佐藤さんに総理が引継がれました。我が琉球の高等弁務官も、キヤラウエイさんからワトソンさんに、そして大田さんから松岡さんに主席が交替したのであります。このようにして内外共に激動する世界状勢の中で、今回新しく登壇した世界の指導者は、今何を考えているかわれわれには知る由もありませんが、希くば全人類の渇望する世界平和のための政治をうち立てて、我が琉球の祖国復帰が速やかに現実することとを祈念するものであります。
また昨年は世紀の祭典オリンピック東京大会のあった年であり、日本国の信用を世界に広め、我々人間に大いなる教訓と希望を与えた意義深い年でありました。ではこのあたりで本村に目を向けますと昨年四月より古堅中学校が新しく分離開校いたしました。
社会教育において、青年学級、婦人学級、教育隣組活動を推進したお陰で学事が向上し、青少年の問題児が減少いたしました。
また保育園を設置するすべての手続きも完了し近く着工の運びとなりました。
中部水道事業も、順調に運びつつあって、今年一ぱいには、喜名、親志、座喜味、上地、波平の各家庭に水道が完成することになりました。果樹園事業も二ヵ年目を迎えましたがパパイヤ、バンシロー、カーブチ、オートー、シークワーサーの接木や、新植、育苗管理等も多大な成果を挙げつつあり更に果樹園管理の給合基本施設計画を作成して、関係筋に許可申請を提出してあります。
琉球の文化財であり、本村の名産である読谷村衣織も見事再興いたしました。
特に昨年中は、雨はよく降り、暴風はなく農作物は稀に見る農作の年でありますが本土政府による貿易の自由化実施、砂糖相場の暴落のため農家経営は不安の状態におかれ、琉球経済は危機に直面いたしました。その打開策のため琉球政府、立法院、市町村会長、議会議長会、農協長会等、相ついで本土政府に保護措置を訴えまた二回にわたり県民大会を開催して懸命な努力がなされたにもかかわらず砂糖価格が未決定のまま製糖期を迎え年越しなりましたことはまことに遺憾であります。
尚本村青年会の女子バレーチームが全流を代表として全国青年大会に出場したことや婦人会の活発な運営、老人倶楽部の結成それから豚が五、三〇〇頭から八、八〇〇頭に増産したことと伝染病や火災が著しく減少したこと等、いちいち書くと枚挙にいとまがない程でございます。
以上のように昨年における村行政は着々と進んでおりますがこれ偏に村議会並びに村民各位の御協力の賜であります。
今年は読谷村が重点的に取上げている農業振興計画の第一年次計画を強力に実践したいと思うのであります。それでお願いしたいことはよいお天気のときは家屋内外の清掃に気をくばり、伝染病の発生源を取除き農作行や凡ゆる職務に能力的に愉快に働こう。
よい天気の次は雨が降ることを考えてその準備をしよう。
干抜や、雨季暴風の時期は予めその対策を立てましょう。
自分の土地はどの作物が適するか時期はどうかよく売れるもの利用価値の高い作物をつくりましょう。
すすきの生えた荒地や野原等は早く木を植えればやがて日陰をつくり、防風林となるだろう。
宅地にはパパイヤ、バンシロー、桃や花木を植えて屋敷を美しく利用を高めましょう。
山には金になる木を植えましょう以上所見の一端を申上げましたが村民皆様が日々の生活に自作と愛郷心をもって御家族の皆さんと共に心もふところも実りの多い年でありますことを祈念いたしまして、新年の御挨拶といたします。

※写真は原本参照。

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