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1965年4月発行 読谷村だより / 4頁

第五次沖縄青年国内研修に参加して

第五次沖縄青年国内研修に参加して 
読谷区教育委員会 
社教主事 宮城 元信
日本健青会の招聘で沖繩青年国内研修団として、本土各県を視察研修する機会をあたえて下さった。日本青年会は人づくり、社会づくり、国づくりを目標として活動をつづけ、なかでも特筆すべきことは、沖繩県民の悲願である祖国復帰問題をとりあげ、健青年会代表を沖繩に派遣して実情の調査を重ね、復帰運動や沖繩へ書籍を贈る運動、日の丸を贈る運動等をこれまで続けてきている団体である。その一環として、文教局沖繩健青年会沖繩青少協と提携して、「本土と同等の青少年施策を」基本として、毎年沖繩青年二十名、今年までに延一〇〇〇名を数える研修団を招聘している。
 われわれの研修目的は、本土の青少年との相互交流を深める一方、青年活動、社会教育産業施設の視察研修をなし視野を広め親善を深める。
主なる研修内容は
 ○主要青年団 青年学級生との交歓会
 ○総理府 南方同胞援護会 文部省 各政党 教育関係者との話し合い。
 ○国立青年の家、各種教育施設主要産業施設の視察見学
 ○沖繩出身の集団就職先の三菱伊丹工場 和歌山大和紡績、国頭出身の国立療養所延寿ガ浜の結核病棟の訪問
 ○第十二回全国農村青年指導者錬成会への参加
 二月一九日から三月二十日迄、かように長期にわたる視察研修のため、絞って青年の家で行なわれた第十二回全国農村青年指導者錬成会について、ふれてみたいと思う。
 青年の家は、青少年健全育成という立場から、青年の団体および青少年指導に関する研修を行なう成人の団体が共同生活を行ないながら、講議、討議、実習、体育レクを行ない、友情を深め、創造的な活動力を高めて健全な青年、よい社会人となることを期待する社会教育施設である。
 利用出来る人は原則として、二四時間以上滞在して研修する五人以上の団体であること又青年団体員、青年学級生および企業内の勤労青年、学生及び生徒、社会教育に関する青少年教育を研修内容とする成人であることが決められている。
 青年の家には国立、県立があり、われわれが研修したところは、静岡御殿場の国立中央青年の家と熊本県の阿蘇国立青年の家及大分県湯布院、三ヵ所である。
 全国農村青年指導者錬成会は、健青会主催文部省、農林省、新生活運動協会の後援で、国立中央青年の家で実施された。
 ここは富士山の麓で施設は充実しており、面積およそ六万坪、宿泊人員五〇〇人、各種青年団が入所して、共に研修が出来る。
 錬成会は二月二五日から三月三日までの一週間で、気候的にみて寒い時期であったが全国から馳せ参じた会員およそ一五〇名、年令の分布も巾広く二十代から四十代、職業も、農村青年から教育委員会職員、公民館主事、高校教員にまでまたがり、真の農村青年指導者、担い者たるものの集りで農村に山積する問題に自ら取組む意欲に充ちた研修団員の集いである。
 その日課は専門家からの講議が三日間、研究討論の分科会が二日間、先進地見学一日都内見学一日、その中にパネル討議等もおりこまれ充実した研修である。
 分科会は五分科に分かれ一つには農村社会の開発、二つには農家生活の合理化三つには農家生産性の向上四つには流通機構と価格対策、五つには農村婦人青年の活動推進など随分時間をかけての討論が行なわれた
 農村の問題は沖繩と差こそあれ山積している。特に農村の後継者の問題、花嫁の問題が農村青年にとって深刻であり、これが対策として親子の契約制や、農村における人間関係、住宅の改善などがとりあげられ、なかでも農村青年として明日に希望を持ち、年次計画をして、考える農村青年、実践する農村青年になるのが先決であると結論づけられた。
 わが郷土沖繩にも県立以上の設備をもつ青年の家が日本健青会や、文教局の要請によって今年設置されるということで誠に喜ばしいことである。本土では数年前にこのような施設が出来勤労青年学生等の研修の場として利用されていてひとり沖繩だけがとり残されていた。
青年の家が勤労青年や学生の為に必要欠くべからざる施設であることを今年の研修で特に強く感じた者である。
全国的な錬成会、このきびしい訓練に沖繩研修団員(十九名)から落伍者は出ないかと大きな不安を抱いていたが、それとは逆に日本国民として意義深い研修参加に感激し本土青年に伍して意気盛んなところをみせ昨日今日と一日一日人間が変ってきた感じをうけながら一週間の錬成会もまたたくまに過ぎてしまった。
 錬成会に参加する前までは牛の歩みのように常夏の島のもたらす動作があちらこちらで現われよった団員が僅か一週間の研修で、物の見方、考え方、動作態度が百八十度の回転をなし自ら進んで大阪市場調査や社会福祉事業調査、養護学校訪問など各サークル部門の研究に意気盛んなところをみせた。
考えれば「井戸の中の蛙」・・・・・・あの諺今年の研修でしみじみと感じさとり、われわれ団員が生きている間にまたと味わえないすばらしい研修で、まるで蘇生した人間が形成された。この成果を今後各分野で活用すると共に末長く親睦を図り、本土の研修団員及日本健青会と提携を密にしていくうえから会員の要望で一九和会と称し年三回の集いを開催することに決定し、既に第一回総会はおえた。思うに自分の現在の立場を見極め奮発する人間を形成しようと考えるならば「百聞は一見に如かず」の諺のように沖繩の勤労青年を本土研修へ数多く派遣することである。

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