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1965年6月発行 読谷村だより / 4頁

行政報告 

行政報告

産業経済
 本年度の農業事情を申し上げますと、気象条件が良く、雨量も豊富で台風にもまぬがれ、農作の年であったと云えましょう。しかし農政問題では困難な年だったと思います。一九六三年八月三十一日、日本政府の貿易自由化に移行したため甘蔗全量買上接渉、甘蔗価格の問題等沖繩糖業問題の多難な年であったと思います。農作貧乏と良く耳にすることですが本年度の甘蔗作が例年にない農作でありながら、甘蔗価の暴落により沖繩の蔗作農家が貿易自由化の犠牲になった年であります。甘蔗作の不利な立場から本村でも畜産振興、馬鈴薯栽培の拡大、果樹栽培、新作目でマッシュルーム、紅茶栽培を取り入れ振興計画を樹立し、実施しております。
マッシュルームは試験栽培も終え、農家に栽培普及の段階であります。馬鈴薯も政府の主産地形成計画の指定の見通しがついて、新年度より馬鈴薯栽培拡大を計画しております。昨年迄、散在的発生で、あまり見受けなかった甘藷テングス病が本年度は蔓延状態になっており、四回に亘り、共同防除を実施しておりますが新年度も此の恐るべき天狗巣病防除を農家に指導督励し、一日も早く甘藷天狗巣病撲滅に努力したいと思います。
(1)畜産奨励について
甘藷作に適する本村の土壌や立地条件からして畜産振興でなければいけないとする見地から多頭飼育の奨励粉餌飼料への転換を呼びかけ、特に自給飼料との関連と過去の実績から豚の主産地形成を目標に努めております。
養豚奨励事業として優良種豚奨励補助、チョッパー購入補助等があり、一九六四年六月末現在で六、四九七頭の飼育頭数でありましたが、一九六五年四月末現在の飼養頭数八、〇〇四頭になっています。十カ月間に一、五〇七頭の増殖であります。
優良種豚としてランドレース種、チェスターホワイト種の導入や生産に積極的に施作を講じ又、農協においても優良種豚の普及増産を計るため、優良種母豚の貸付制度を設け、現在ではランドレース種母豚六十五頭がチェスターホワイト種母豚八十五頭が飼育されています。その生産仔豚中、約四〇〇頭が仔豚登記され、今後の豚の品種改良に多大な成果を上げるものと期待されています。
牛については一九六〇年度から牛の飼育者に対し、購入資金貸付金の利子補助を行なって大家畜(牛)を奨励してきたが一九六〇年から、一九六五年四月末現在迄に五十頭しか増殖はありません。
家畜防疫においては鶏ニューカッスル病接種及び狂犬病予防注射を実施しており豚においては豚家免化予防液が使用され、有効期間も従来の予防注射とは比較にならない。一カ年間の効果があり、普通の仔豚の場合なら終生免疫ということになり、今年度からは、全面実施は打ち切られ、毎月生産される仔豚と繁殖用豚を主体に仔豚の離乳(生後五十日前後)に家免化豚コレラと丹毒の予防注射を実施しております。
今回の新しい方法によって豚疫病を予防し、儲かる養豚業を営むために今後の豚の予防注射に農家の御協力をお願いし、豚疫予防に万全を期し度いと思います。
(2)農産物奨励事業について
甘藷優良品種委託苗圃補助事業として試験場より種いもを購入して設置する計画で、試験場にも再三分譲接渉しましたが試験場は各市町村への原苗圃用種甘藷としての割当配付量しかなく分譲することが出来ず、村内より六四八キログラムの種いもを購入し、十二アールを設置してありますが本村は各字とも甘藷天狗巣病が激発状態であり、種甘藷として購入した甘藷に罹病していたようで、苗床で三十%程度の被害を生じ、設置者に迷惑をかけて残念に思っております。
残りの分を充分保護させ、新年■■委託用種いもとして育成させ度いと思っています。
甘藷原苗圃補助事業については、政府より割当により二アール設置させてあります。配布については十二名に三十アール分行ない、新年度計画の委託用種甘藷として育成させ度いと思います。
甘藷健苗圃補助事業について、政府の割当により、宇座部落を指定して六十アールを五十名に設置させてあります。
 本年度は家畜増殖計画により、畜産飼料の基とする甘藷作栽培の増大、優良品種の増殖を計るため、甘藷苗床事業に努力致しましたが甘藷天狗巣の被害のため良い成果が得られず残念に思っております。
昨年度迄甘藷テングス病の媒介昆虫、伝染関係等はっきりせず六三年十二月、日本の新海博士の研究の結果媒介虫、伝染関係が明確となり、六四年十一月十八日政府のテングス病一斉防除週間実施協議会で防除方法が解り、薬品の一斉防取、病株の一斉抜取を徹底することによって防除効果が得られると云うことであり、今後農家の認識も高まったので新年度はテングス病撲滅を目指して農家と共に努力したいと思います。
(3)糖業振興について
本年度の収穫面積四六、八七三アール生産高(蔗茎量)約三五、二五八、〇〇〇キログラム平均収量七、五二二キログラムで戦後最高の生産高であります昨年度に比較しますと面積で一、四五倍、生産高で二、五倍であります。本年度は甘蔗作に対して好条件で豊作な年であったと思います。
一九六五~六六年期の夏植一六、七四九アール(原料蔗園)春植予想面積三、四八七アール、株出予想面積二四、五九二アール、合計四四、八二八アールで去った一九六四~六五年期の収穫面積より二、〇四五アールの減作が予想されます。甘蔗苗圃の補助事業については原苗圃十五アール、中間苗圃十五アール優良品種委託苗圃二十アール設置してあります。最終倍士も終り生育期に入ると同時に雨量が豊富で甘蔗の生育には好都合で上等な苗が得られるものと期待しています甘藷作付補助肥料について一、五五四、三叺分弗、二、九九九、八〇を補助してあります。
農家の換金作物として又、沖繩の重要輸出産物として産業の基幹をなしていた砂糖が本土の貿易自由化移行のため、沖繩の甘蔗作が世界の甘蔗作国と競争する不利な立場に立たされたのであります。それについて本村でも振興計画にもあります通り、甘蔗面積を四二、〇〇〇アール程度を維持し今後は肥培管理の指導、優良品種の導入による生産収量引上げに努力致し度いと思います。
(4)災害対策について
病害虫対策として農薬購入補助、備蓄農薬による共同防除を行なっています。甘蔗テングス病四回、野鼠駆除三回に亘り実施致しました。昨年より弗四、一三五、〇〇も増額して病害虫防除に当っております。昨年に比べて何故か非常に作物の害虫が多くなったように感じられこれは六三年度異状早魃よりそれ以降台風がないためかと思います。特に甘藷天狗巣が激発している状態であり、防除に頭を悩ましております。恐しい病気とは解りながら昨年迄伝染病関係、防除方法が政府でも解らず媒介昆虫に隙を与えたような落度があったと思います。
本年度甘蔗天狗巣病防除に農家の認識も高まり共同防除を四回に亘り、実施しておりますので新年度は甘藷テングス病撲滅に一層の努力を致し度いと思います。甘藷テングス病防除に備蓄薬及び政府譲与を含めて、マラソン粉剤九、五二三袋金額にして弗三、八〇九、二〇の農薬費を投じております。農薬購入補助金では四月末現在で購入費弗三、六四九、五二に対して、補助金弗七三〇、九二支払いとなっております。
(5)林業について
林業関係については去年同様、村内緑化事業を進め第一次、第二次緑化計画の捕植を重点に街路樹、学校林、農地防風林、果樹園等一五、〇〇〇本の補植を完了致しました。
本村の山林は軍用地が多く造林計画もむずかしいので環境緑化に重点をおき屋敷林の造成果樹の育成等を考慮し、第三次緑化計画運動三カ年計画の一年次にあたり、緑化苗(木麻黄九、二六五本、ヤシ類十三本、その他六本)果樹苗(みかん類四一四本、ぶどう一六四本、びわ一二四本)等の共同購入を行ない学校林、部落林、果樹園、親善部隊等に配布し、緑化事業を進めました。
又政府事業の一端となっている保安林も村と一体となり補植を完了することができました。又緑化運動の一つとして第五回みどりの羽根募金運動を実施し、目標額、弗二三〇、〇〇に対し弗二三一、六八という成績を納めています。募金額弗二三一、六八の中弗一三九、六八は林業協会より交付を受け、特殊苗木の購入を行い募金の実績がわかるように計画しています。
(6)自給肥料について
 自給肥料関係をまとめますと増産のため年二回に亘る自給肥料増産週間を行ない地方の増進に邁進しています。
今年度は目標製造高八七四六、〇〇〇キログラムに対し八七一、〇五三キログラム積込みとなっております。
尚緑肥の栽培を奨励し、推歴肥の不足分を補い、又地力の維持を計るため緑豆の種子を配布し、地力増進に努めております。
(以下次号へ)

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