非行児の温床 問題家庭とは
訪問教師 喜友名正謹
春の青少年健全育成運動に際して、各区とも、それぞれ努力して、非行少年の防止に、大わらわになっている折、参考になるかどうか疑問だが、非行児の出る温床とも言うべき問題家庭について記して見たい。
問題家庭
一 こわれた家庭
家庭のこわれる原因は、いろいろの事情がある。貧困、病気、死別、別居、離婚なども家庭の欠損崩壊を来たす。勿論子どももこわれてしまう恐れが充分にあるので、こんな家庭の子は社会福祉法とか児童福祉法による取扱で救われる子が多い。
二 愛情、信頼、結合のない家庭
家庭は、社会の基本単位であるが、人間の愛情と信頼を基盤として結合していると言える。だからその結合が乱れ、心と心を結ぶ綱がきれてしまったら、形は整っているようでも家庭としては機能を果していないわけである。お互の身になる。お互いを信じ合う、素朴な心のつながりを持ち合う。そういう営みや、努力をしないところに、だんだん家庭にひびがはいり、結合がゆがみ、問題の家庭になる。お互に親切な暖かみがなくなり非行児が出易くなる。
三 ジメジメした暗い家庭
家庭は、家族がいこいの場とし、子どもの心身がすくすくと育つところでなければならない。しかし問題児や非行児の家庭には、まるで日が当ったことのないような、暗い陰気な雰囲気が少なくない。人間関係が暗い雰囲気である。笑いがない。生き生きした、リズムがない。何か問題が出ても。積極的努力すれば、明るい空気をかもし出すことができる。
四 緊張、葛藤の多い家庭
けんか、もめごと、ごたごたを熱い戦争だとすると表面に発火しない適意、反感のこもった張り合った状態を「家庭の緊張」といういわば冷たい戦争といえよう。どちらも家庭に禁物。必ず戦争被害者が出る。子どものノイローゼ、青少年の家出、非行の背景の多くは家庭内の不和や緊張に原因するよいう。
尚、子どもの幼少の時の両親の不和葛藤は、子供の情緒の発達にゆがみを与えやすく、子どもがある程度の年令になると、その緊張、あつれきの家庭をいやに感じ反発したり、逃避しようとする。そこに行動上の問題が起る。
五 精神貧困の家庭
父は常習者、兄はヤクザ姉も売春婦、母も時々万引であげられたことがある。そんな家庭に育つ少年や、生活にゆとりがあり、お金さえ与えていればよいという父母の家庭の子は、やがて、物に目がくらみ、窃盗でも、強盗でもしかねない物に弱い人間をつくってしまう。
六 ユーモアのない家庭
問題児や非行少年の家庭に共通しているものの一つは、ユーモアがないということである。
リズムがない、歌がない笑い声がないことも、これに関連しているであろう。ユーモアを解することは社会生活でも、人間関係の潤滑油といわれている。
以上のように家庭の谷間をならべて来たが、非行の原因は、その外に、学校、職場、交友関係、近隣関係、地域社会等と、素質による非行が考えられるが、いづれも、劣等感が非行の主要な根源と見られる。
グリック夫妻は、五、六才の早期に将来のなおりにくい非行を予測することができるといっている。この予測の目安になるものは、
1少年に対する父のしつけ、2少年に対する母の監督、3少年に対する父の愛情、4少年に対する母の愛情、5家族の結合で、これ等の問題の重なっている子は、将来非行に陥る可能性が多いといわれている。
最後に、どの家庭からも非行児が出ないように念願し、基礎になるのは家庭における人間関係であることを再確認していただきたい