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1968年8月発行 読谷村だより / 4頁

話のサロン ヒュマニズムの運動

話のサロン ヒュマニズムの運動 
安田慶文
 ちぐはぐな沖縄の医療行政の空虚さもあってか、本土派遣医師の学童集団検診によって本村では十数名の心臓異状児が発覚されたもし、今度の検診が実施されなかったら、未来にひじように楽しい夢を託している純粋な幼い生命は、迷路に浸されはしなかっただろうか、不安と恐怖が先走る。
 近代社会に於いて、「知らぬが仏」では理に合わん。「知るは易く、行なうは難し」といわれたが、じつは「行なうは易く、知るは難し」とのことである。私の姪節子(十二才)もその一人、二年前に心臓狭隔欠損症と診察されて以来、家中が憂うつになった。
 然し、今度日琉両政府を始め、村当局、議会、学校、知友の皆様の物心両面の御協力のお陰で、六月五日九州大学付属病院で無事手術を終え、経過も大変良好で、治療に専心致しておりますことを厚くお礼申し上げます結果論になりますが、前述のようにやはり行なうは容易でした。
 心臓異状と云う病気に暗中模索のような私共は経済問題、輸血問題、成功率の問題等、総べて仮定の段階で鋭い神経をつかい 成す術を知らないままに、判断に戸惑い苦しみます。しかし子供の動作、反応は自分自身をいちばんだいじにする。
 子供に対する愛情、親に対する愛の交叉する中で「愛の愛たるは愛にあらず」、「進退両難本来これなし」でこの運命を切り拓く決心を促したい
 幸い本村では、事業の一端として募金をはじめ、村長外、関係者のみなさんが、この問題解決に一段と力を入れておりこれを機会に社協あたりで、この問題で悩める者の共通の話し合いの場をもって頂けると、お互いに理解し合って自信と、明るさがもてるのではないかと思います。
 私は、姪の手術日の五日上福し、献血に奔走して頂いた福岡県赤十字血液センター、琉球新報福岡支局、福岡県学生会の心あたたまる献血よびかけで、全く知らぬ異郷で而も百万弗の金でも買えない愛の献血、朝早くから新鮮血供与のために貴重な時間をさいて献血にはせ参じて頂いた、三十余名の学生の皆さんの人間愛に唯々胸がいっぱいでした。
 心臓手術の不可欠条件は新鮮血の輸血でありこれが最も重要な役割を果たし、合併症さえ伴わなければ確率のようです既に今年度の政府送り出し、二十名の中手術を行った十余名が揃って成功し、全快している。
 人生はすべて坦々と明るいものばかりではない薬事の進歩、衛生医学の発展に伴って、然も尊い人間愛の献血によって心臓手術は成功する。
 仮定の段階で迷わず、くじけず、脱済せずに、勇気と信念をもって迷路を切り開かれんことをお祈りします。

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