読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1984年4月発行 広報よみたん / 3頁

人間として生きぬき平和にくらすために 4たび声高く内外に「平和宣言」 はじめに

〔287号2ページの続き〕

正に、前近代的な「力による抑止論」であり、「目には目を、歯には歯を」という狂気の論理といわなければなりません。今や、人類や地球そのものが「核戦争」の危機に瀕しているといっても過言ではありません。
 戦後三九年の歩みをみると、日本は次第次第に「軍事国家への移行」をもくろみ、そのため、日本国憲法を改悪すべくおしすすめてきた勢力が存在し、その結果、政府の責任ある者が、誰はばかることなく日米安保条約は「軍事同盟」であると公言するあたり、誠に遺憾に耐えない次第であります。
 沖縄県民は、「核戦争」の勃発によって、まっ先に攻撃目標にさらされることをよく知っており、さらに軍隊は最終的には国民を守り得ないこともよく知っております。第二次大戦中、多くの国民が国策に追従した愚は繰り返してはなりません。
 読谷村は、人間として生きぬき平和にくらすため、改憲論や軍備増強、自衛官募集業務等、戦争につながる行為については、今後とも拒否して参ります。
 国家権力は、教育の国家統制をおし進めるため、戦後の「教育基本法体制」をつぎつぎと改悪してきたのが過去の偽わざる事実であります。
 教育の中立性を無視し、時の権力が真正面から「教育臨調」を打ち上げることは望ましい姿勢とはいえず、国民的合意のもとに教育問題を考えていくべきであると思います。
 私達は、読谷村の教育・文化発展のために時流のみに押し流されることなく、これまでの足跡をかえりみ、拠って立つ所を深く掘り、児童生徒を中心にすえた平和教育、民主教育、国民的教育を築き発展させる過程にあるという認識にたち、極めて主体的、自立的、創造的な実践が今こそ必要な時期であります。
 私は、ここに沖縄の歴史の教訓と日本の平和憲法の理念、読谷村民の平和への願いを体して、四度び中外に、声高らかに「平和宣言」をするものであります。
 一、われわれは、反核、反戦を貫き平和を守り、人類存続と文化の発展のため奮闘する。
 一、われわれは、我々と我々の子孫の幸福と繁栄をめざし、平和な社会を築くために奮闘する。
 一、われわれは、村民の住みよい生活環境の確保をめざし、基地公害を拒否するため奮闘する。
 一、われわれは、より身近な問題として、読谷飛行場内における一切の軍事演習を拒否し、敢然とその撤去を求めるものである。更に同用地の問題解決の取り組みは、戦後処理を求める人間的な闘いであ
り、平和で明るい豊かな村づくりのため、一層の団結の下に奮闘する。
 以上のことを村民に訴え、その実践を村民と共に決意するものであります。
今や、「核戦争」には勝敗はなく、あるのは人類の滅亡のみであります。したがって、平和に勝る福祉はなく、平和は人類最高の理想といわなければなりません。理想に向って最善の努力をするのが人類の宗高な使命であり道徳的行為といわなければなりません。
 われわれは、我々と我々の子孫の生存と幸福のために、反核、反戦の世論を盛り上げると共に、地域にマッチした運動をつくり上げていく努力が必要であります。
 一方、復帰後の沖縄振興開発の為に制定された、特別措置法を受け、今年度は、第二次振興開発計画の三年目に入ることになります。
 本村の諸施策もこれに基づいて展開してきたのであります。その結果は、社会資本の整備、学校教育施設の整備、生活環境の整備、生産基盤の整備等々、一定の成果を上げてまいりましたが、今後とも時代の進展に即応しつつ、将来への展望に基づき、本村の社会的、経済的、文化的基盤の整備拡充の為、努力する所存であります。
 読谷村の村づくりは、日頃申し上げておりますように、過去を反省し、現在を大事にしつつ、更に、二一世紀を展望する村づくりであり、ふるさと読谷のもつ地域特性を活かしたものでなければなりません。
 そこで最も大事なことは、村民がたえず人間の生き方を歴史の教訓から学び、「真なるもの」を見つめ、地方の時代にふさわしく、地域に立脚しつつも、尚、普遍性を有することであり、かつ村民主体の理念である「村民の村民による村民のための村政」を確立することであります。その根底として、村民の先見性、主体性、思想性、芸術性、政治性に裏うちされた思考と実践が必要であります。
 読谷村も、年々、社会的な人口増加が続いており、村民一人びとりが地方の時代のもつ意味を十分に理解し、村づくり、地域づくりの主人公は「自分である」という認識の下に、行政区や字との係わりを積極的に持ち、よりよい地域社会づくりに参画することを期待するものであります。どうぞ、主体的に地域ぐるみで読谷村の目ざす「人間性豊かな環境・文化村」づくりに自信と誇りをもって取り組もうではありませんか。
 今、日本の政治状況は、行政改革と財政再建という、かってない厳しい状況下にあります。国・県・村とも厳しい財政状況下での予算編成でありましたが、今日まで進めてきた諸施策の継続実施を中心に、将来に向けて、より充実した施策展開を目指していきたいと思います。
 そこで本年度は「公営住宅建設事業」をはじめ、「一般廃棄物最終処分場整備事業」、「読谷山花織地域工房の設置」、「残波岬公園整備事業」、「浜屋地区土地改良総合整備事業」、「儀間地区復帰先地公共施設整備事業」、「伊良皆地区学習等供用施設設置事業」、「身体障害者技術取得事業」、「畜産経営環境整備事業(養鶏)」、「読谷幼稚園園舎建築工事」、「古堅南小学校ナイター施設」、「楚辺東児童公園整備事業」、「村史資料編の発刊」、「防犯灯の設置」等々、新規事業として推進していく計画であります。
 本年度も引き続き、生活環境の整備、生産基盤の整備、地域福祉の充実、教育文化の振興、その他の施策を一歩一歩前進させていきたいと思います。
 どうぞ村民の英知と協力のもとに、ユニークな村づくり、清新活力ある村づくりを進めていく考えであります。
 昭和五九年度も、議会の皆さんをはじめ、村民各位の積極的な御指導、御協力、御支援を仰ぎつつ村政を進めていく所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。

※写真「施政方針を説明する山内徳信村長」は原本参照

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