読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1990年2月発行 広報よみたん / 9頁

保健婦だより 高齢化社会に向けて思うこと-保健婦活動を通して-大城真悠美

 人生八十年。誰もがすこやかに老いたいと願うのは当然のことだと思います。「ボケたくない」「寝たきりになりたくない」と誰でもお考えのことでしょう。
 最近「高齢化社会」とよく耳にしますが、六十五才以上の人口(老齢人口)の割合が全人口に対して七%以上を示したら「高齢化社会」と称しています。本村は八・四五%(昭和六十年)なので完全に高齢化社会といえます。それに伴ない寝たきり老人や痴呆性老人の数も増加傾向にあり、これらを対象にした保健婦の家庭訪問指導も増えつつあります。寝たきりのお年寄りや家族に対して介護方法のアドバイスが主になりますが、経済的相談や介護人への激励等も忘れてはならない大切な支援になっています。ねたきりの原因は様々ですが、訪問して感じることは寝たきりの本人はもちろんのこと家族、特に介護人の精神的、肉体的疲労が大きいことです。
 知り合いのAさん(八十才)は二年前からある疾患が原因で寝たきりの状態にあります。歩行器を使用し室内は介助つきでなんとか歩けますが日常生活はほとんど介助が必要です。特に介護人にとって負担の大きいのは寝返りが自力でできないこと。それで夜は二時間おきに体位変換をしなければなりません。当然のごとく介護人は慢性的寝不足状態。疲労が蓄積しイライラ度も高まる一方です。そんな折一日だけですが介護を引き受けてみた時のことです。日中は何とかこなせたのですが、さすがに夜の体位変換は大変で介護人の苦労を痛感したのです。床ずれ予防のために二時間おきの体位変換。頭でわかっていても実践となると並たいていのことではないことを実感しました。この体験を今後の家庭訪問活動に生かせたらと思っています。
 又、寝たきりになった舅の介護をしているBさんはこんな話をしてくれました。「介護の技術は体験を通して自分なりに工夫できるが、精神的ストレスはなかなか取ることができない。でも保健婦が訪ねてきてグチや苦労話を聞いてもらうことで気持ちをいやすこと
ができる。自分の大変さをわかって苦しい時に耳をかしてくれる人がいると思うだけで大きな支えになります」と。これは今後の保健婦活動のあり方を示唆してくれたように感じました。
 今の保健婦の限られた人数では残念ながら十分なケアーをすることができません。それで介護人の負担を少しでも軽くするためにも厚生課で行なっているデイサービスの活用や老人ホームヘの短期保護等の社会資源の活用。そして何よりも介護人に対する家族の理解と協力、そして友愛訪問が地域ぐるみの取り組みとして位置づけられることが、今後、介護を続けていく上にぜひ必要なことではないかと思います。

利用者アンケート サイト継続のために、利用者のご意見を募集しています。