読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1991年2月発行 広報よみたん / 5頁

【見出し】日中農耕文化比較プロジェクト 読谷村を合同調査 中国から10人の学者や研究者が 長浜・座喜味のお年寄りから聞きとり終始和やかに「友好の和」広がる 【写真:団長の張紫晨教授:福田アジオ教授:交流会では沖縄・中国の民俗芸能も披露され益々親睦交流を深めた:村立歴史民俗資料館(座喜味老人会)3:長浜公民館(長浜老人会)3】

 北京師範大学の張紫日晨教授を団長とする日中農耕文化比較研究学術調査団が十二月七日から十一日まで本村を訪れ、民俗・文化の聞き取り調査を行った。
 我が国文化庁の補助により、日本と中国が合同調査したもので、中国側民俗研究者十人に、日本からは国立歴史民俗博物館の福田アジオ教授、小林忠雄助教授、法政大学教養部の曽土才助教授の三人が同行した。
 村立歴史民俗資料館の名嘉真宜勝館長を通して、本村への調査協力依頼があったもので、同資料館を活動拠点とする歴史・民俗・考古などの地道な調査・研究や、村民一体となった本村の文化村づくりが県内外より高く評価されている為としている。
 護佐丸の時代に南蛮貿易の港として栄えた長浜区(山内英一区長)と座喜味城城下の座喜味区(当山操区長)を調査対象に「年中行事」「民間信仰」「人生儀礼」などについて、お年寄りからの聞き取りを行った。「ウンケー・ウークイ」「火の神」「霜月カンカー」等々。
お年寄りらは、懐かしい友に再会したかのような感激ぶりで長時間にわたる聞き取りにも疲れをみせず、質問に答えていた。
 調査には資料館・美術館・村史編さん室が全面協力する他、両区老人会はじめ区あげての協力となった。また、琉球大学や沖縄国際大学の学生、台湾、中国の留学生・主婦などが通訳を買って出るなど、歴史的に関りの深い民族同志が、この調査を通して心を一つにしたのである。受け人れ側の積極的な協力体制と調査団の綿密な調査計画により、調査はスムーズに進行、終了した。
 「亀甲墓」「石敢當」「豆腐」「発音」などかなりの共通点、類似点がみられ、確かに中国の影響を受けたと思われるが、気候、風土に合った沖縄独特の文化を編み出している。又、近代化が進む中で、伝統文化を大事に守り続けている読谷村の人々の心に感心させられた-と調査団では話していた。
 中国トップクラスの民俗学者や研究者が一拳十人も調査に訪れたことの意義は、はかり知れない。今後の日中学術交流に弾みがつき善隣友好の和が広がって行くものとみられ、本村の文化村づくりへの新たな展開が期待できそう。
 沖縄に続いて中国での調査を終えると、日本語と中国語の両方で報告書がまとめられることになっており、早くもその完成が待ち望まれている。

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