読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1991年4月発行 広報読谷 / 11頁

※続き。原本 頁09~

(4)生活環境の整備に関する施策

 本村は田園風景に富み、農村としてのたたずまいと都市的な環境を併せもち、豊かな住環境を形成しております。
 ところが、昭和六十二年に制定された「総合保養地域の整備に関する法律」いわゆるリゾート法に端を発した投機的土地の買占めと無秩序な開発の波は本村にも押し寄せ、豊かな環境が損なわれることが懸念されます。土地は限りある資源であり、また、個人の所有物であってもその使われ方によっては地域社会への影響が大きいものであります。土地は、公共的側面を持つものであり、生活環境と深いかかわりを有することから投機的土地の買占めを許さず、自然と人間との調和した秩序ある開発を推進してまいります。
 さて、村民が健康で文化的な明るい生活を営むためには生活環境の整備が基本的な事項であり、欠くことのできないものであります。生活環境の整備は、生活様式の変化に対応しつつ中長期的な視点から諸々の施策を取り入れ、潤いのある生活空間を創出することが大切であります。その施策は快適性、利便性、文化性を帯びた住環境の整備をめざし、上水道、下水道、道路、公園、住宅等都市基盤の整備と、安全で明るく衛生的であるととも緑と花に包まれた環境づくりがあげられます。そこで、今年度は次のような施策を実施してまいります。
 上水道は、人間が健康で文化的な生活を営む上で必要不可欠なものであり、基本的施設要件であります。本村の水需要は、人口の増加と社会環境の変化、生活水準の向上、水道普及率の向上等によって年々増加の一途をたどっております。ことに、返還軍用地の跡地利用事業の一環として施行された土地区画整理事業をはじめ、復帰先地並びに移転先地公共施設整備事業による住宅地の整備に加えて、リゾートホテルの立地は水需要の増大に一段と拍車をかけております。
 このような状況のもと、村全域に良質で清浄な水を確保し、安定した給水体制の強化をはかることが重要であり、これまで送配水施設整備計画に基づき、主要水道施設の整備を実施してきたところであります。
 今年度は、読谷飛行場南側(楚辺東上原)に昨年完成をみました県企業局の読谷調整池の建設に伴い給水方法がこれまでの直圧方式から自然流下方式へと切り替わっていくため、昨年度に引続き楚辺地域の配水管布設工事を実施してまいります。また、給水設備の改良工事といたしましては、南部地域における地下式量水器を地上式に切り替えるとともに、各家庭への引き込み給水管についても改良を進めてまいります。
 道路は、快適な社会生活を営む上で骨格をなすものであり、欠くことのできない必要不可欠なものであります。これまでに数多くの村道及ば日常生活に密着したコミュニティー道路を整備し、住民生活の快適性の確保に努めてきたところでありますが、引き続いて今年度は次の事業を実施してまいります。
 都市計画街路については、古堅線の整備を一部用地取得を含め工事施工をしてまいります。この古堅線は昨年度整備しました嘉手納町と読谷村を連結する水釜~大木線に結び、都市の骨格形成をはかる幹線道路として整備されるものであります。
 また、村道については新規事業として残波線改良工事及び伊良皆二号線改良舗装工事、継続事業として古堅~渡具知線改良舗装工事及び比謝二号線改良工事のほか交通安全対策事業として村道高志保~長浜線の歩道工事を実施してまいります。さらに、日常生活と深い関わりを持つコミュニティー道路についても継続して実施してまいります。
 排水路の整備については、快適で衛生的な環境要件である観点から、今年度は、新規事業として上地地内排水路改良工事及び伊良皆~大湾排水路の改良工事に向けた実施設計、継続事業として楚辺~都屋排水路改良工事及び集落内における生活関連排水路の整備を実施してまいります。
 下水道の整備につきましては、公共用水域の水質保全及び快適な生活環境を形成することを目的とした根幹的都市施設であり、長期的かつ膨大な事業となります。これまで、「読谷村公共下水道基本計画」を策定し、これをもとに昨年都市計画決定及び事業認可を受けた楚辺地区の地形測量調査を実施してきたところであります。今年度は、一日も早い下水道の整備に向け具体的に取り組んでまいります。
 公園の整備につきましては、昭和五十三年度以来遂次整備を進め、児童公園十ニケ所を整備し、村民の憩いの場として活用いただいているところであります。今年度は総合公園である座喜味城跡公園及び残波岬公園の整備を継続実施するとともに、昨年度用地取得を行いました座喜味児童公園の整備を実施してまいります。
 住区画等の総合的整備につきましては、今日まで土地区画整理事業や復帰先地公共施設整備事業等を進めてまいりました。現在、喜名地区において移転先地公共施設整備事業を継続実施しております。本事業は七年目に入り、今年度は住宅密集地における道路、水道等の整備を実施してまいります。
 公営住宅につきましては、今日まで古堅地区、瀬名波地区で四十二戸の村営住宅を建設してまいりました。一方、県営事業として比謝地区、波平地区で二百二十八戸が建設されております。今年度は、昨年度の繰越工事として喜名校区内に十二戸の村営住宅の建設を実施してまいります。
 交通安全、防犯につきましては、道路反射鏡及び区画線並びに防犯灯の設置を継続実施してまいります。社会の変化とともに車の利用は著しく増加し、それにともなって悲惨な交通事故も多発し交通戦争と呼ばれる社会状況にあります。交通安全教育の充実と安全についての意識の高揚をはかるため学校、職場、地域を網羅した普及活動を推進してまいります。又、防犯については、青少年の健全育成及び地域環境浄化運動を進め、犯罪のない明るい村づくりに努めてまいります。
 消防につきましては、村民の生命と貴重な財産を守り、村民が安心して日常生活を過ごすことができるよう、消防機械器具及び消防水利の整備と併せて、消防職員・団員の教養訓練等人的消防力の内容充実に努めてまいりました。今後も時代の変化に即応すべく消防設備並びに体制の充実強化をはかってまいります。
 本年度は新規に緊急出動時の時間辮縮をはかるため消防緊急通信指令施設を整備してまいります。消防水利の整備については、八基の消火栓を新設し、消防力の一層の充実をはかってまいります。
 また、消防業務は日頃の身体訓練が要求されることからトレーニング器具を整備してまいります。
 環境衛生につきましては、家庭から排出される生活ゴミの収集処理をはじめ、し尿の広域処理、火葬業務、野犬対策及び衛生害虫の駆除業務を継続実施してまいります。
 ゴミ処理については、昨年度から村内の約四十パーセントについて分別収集を行い「燃えるゴミ」については嘉手納町美化センターにおいて焼却処理を実施してまいりましたが、今年度はこの分別収集をさらに二十パーセント引き上げてまいります。
 ところで、ゴミは経済の拡大と豊かな社会を反映して、ここ数年排出量が増えて社会問題化しておりますが、ゴミ激増の背景には、大量消費と使い捨てを当然のこととする社会的風潮が大きく影響しております。こうした経済社会のあり方は、また地域環境保全という観点からみても、貴重な資源を無駄遣いしていることにもなるわけであります。ゴミ問題は今や行政だけでなく、企業、地域、住民がそれぞれの立場と役割に応じて減量化や資源化、再生利用に取り組むよう意識の転換が必要な時を迎えており、全村民の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。

(5)読谷飛行場転用計画の推進

 旧日本軍に強制的に接収された読谷飛行場の問題は、戦後処理の未解決の事案として所有権回復地主会をはじめ議会及び関係者の皆様のご協力を得て、その解決に向け努力を重ねてきたところであります。日本政府も本村からの陳情、要請の主旨を受け止め、昭和六十一年二月七日、当時の中曽根康弘総理大臣は「地元の土地利用構想を尊重しつつ、沖縄振興開発特別措置法を踏まえて対処してまいる所存である」旨国会に報告され、読谷飛行場問題の解決については転用計画に基づく解決方策が明確に示されました。
 それを踏まえ、本村は昭和六十二年七月「読谷飛行場転用基本計画」を策定し、この計画の事業化を通して戦後処理としての土地問題を解決し、二十一世紀に向けた村づくりの中心地区の開発整備をめざしているところであります。この読谷飛行場転用基本計画を推進するため、関係する制度及び事業等について鋭意検討を進めているところであり、さらに、読谷飛行場用地に内在する諸問題解決のために関係機関と接触を重ねているところであります。
 読谷飛行場転用計画における骨格道路として位置づけている国道五十八号嘉手納バイパスは沖縄県の南と北を結ぶ産業・経済等の幹線道路であるとともに、地域の振興開発の上でも重要なものであります。さらに、交通渋滞の解消等、その必要性と意義は極めて高いものであり、今後もその実現に努力してまいります。

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