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2001年8月発行 広報よみたん / 10頁

ハンセン病に対するご理解を!

ハンセン病に対するご理解を!

ハンセン病の現状
 現在約四、四〇四人が、十三か所の国立療養所と二か所の私立療養所に入所しております。入所者のほとんどはハンセン病は治癒していますが、後遺症としての身体障害等のため療養生活を送っております。
 らい予防法は廃止となり、入所者は当然のことながら自由となられましたが、身体の障害に加えて平均年齢七十四歳と高齢のため、社会復帰する人は少数です。入所者に温かい手を差しのべて、社会復帰できる際は一日も早く社会復帰できるように、村民のご協力を心からお願いいたします。

ハンセン病は治養病気です
 長いあいだ、人びとは「らい」に対して偏見と差別をもちつづけてきたために、いまわしい過去をきりすてて、正しい認識をもってほしいという願いから、らい菌の発見者ノルウェーの医学者ハンセン博士の名をとってハンセン病と改められました。
 ハンセン病は、らい菌による慢性の感染病です。末梢神経がおかされる病気ですが、皮膚のおかされることも多く、他の組織がおかされることもあります。ハンセン病は遺伝しません。
 らい菌は、結核菌に似た細菌ですが、結核菌よりもはるかに感染力が弱く、よほどのらい菌に対する抵抗力の弱い状態で、しかもくりかえして接触しなければ感染することはなく、感染しても発病するのはごく一部の人に過ぎません。また、日本における新患は、ここ数年一〇名前後となっております。
 明治以来、ハンセン病の療養所で働いていた職員でハンセン病になった人は一人もなく、どんなに感染しにくい病気かが実証されています。感染して発病した人でも、自然に治る人もあり、治療すれば治る病気です。
 昔から、自然に治る人は、治ったあとは誰にも感染させるおそれはなかったのですが、末梢神経がおかされて、それがもとどおりにならず手や足に変形がのこり、いつまでも病気のままだと問違えられておりました。
 治療を要する人は、よい薬がなかった時代は、次第に病気が進行して、気の毒な状態になりましたが、一九四三年にスルフォン剤による単剤治療、一九六五年代後半にはリファピシンが、らい菌に対し強い殺菌作用があることが明らかになりました。その後、WHO(世界保健機関)が一九八一年に提唱した多剤併用療法(リファンピシンを主剤として、これに複数の化学療法剤を加えた療法)が、日本でも治療の主流となりましたが、この療法は、その卓越した治療効果だけでなく、再発率も低く、苦痛と後遺症をもたらす急性症状(らい反応)の少なさ、治療期間の短縮などの点で画期的な療法です。わずか数日間の服薬で菌は感染力を喪失してしまいます。 このように多剤併用療法が確立されて以降、ハンセン病は、早期発見と早期治療により、障害を残すことなく、外来治療によって完治する病気となったのです。
◎遺伝病ではありません。
◎伝染力の極めて弱い病原菌による慢性の感染症です。
◎乳幼児のときの感染以外はほとんど発病の危険性はありません。
◎菌は治療により数日で伝染性を失ない、軽快した患者と接触しても感染することはありません。
◎不治の病気ではなく、結核と同じように治癒する病気です。
◎治癒したあとに残る変化は単なる後遺症にすぎません。
◎早期発見と適切な治療が患者にとっても公衆衛生上からも重要です。

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