読谷の自然(107)昆虫類【チョウ類】46~ナミエシロチョウ~(シロチョウ科)
前ばねの長さ三〇㎜から三六㎜、はねの表は白色、裏は黄色です。オスは前ばねに小さな黒斑があるだけでほぼ全体が白色ですが、メス(写真)ははねの周囲が黒くふちどられます。東南アジアに広く分布し、日本では奄美諸島から八重山諸島まで分布しています。以前は八重山だけに生息していましたが、一九七〇年代以降、北へ分布域を広げています。沖縄島で連続して見られるようになったのは一九七七年からです。
食草はツゲモドキ、幼虫は新芽を食べて育ちます。成虫は八重山地方で一年中、沖縄島では三月から十一月に見られ、多い時期は春から初夏です。おもに山手の林の周辺にいます。飛び方は速く、センダングサなどの花にきて蜜を吸います。オスは湿地に集まって吸水します。シロチョウ科のチョウはオスが集団で吸水することが知られています。オスはなぜ吸水するのでしょうか。いくつかの説がありますが、性成熟を促進するためにミネラルを取り入れることが必要だという説がもっとも有力です。
文・写真 沖縄県ミバエ対策事業所 小浜継雄