読谷の自然(113)昆虫類【チョウ類】52~メスアカムラサキ(タテハチョウ科)
前翅長三〇~四五㎜。オス(写真)は翅の表が黒褐色で、前翅と後翅の中央部に大きな白い紋があり、白紋のま
わりが光の角度によって紫色に光ります。メスの翅はオレンジ色で、周囲が黒くふちどられています。世界に広く分布し、東南アジア、オーストラリア、アフリカ、南北アメリカから知られています。日本では八重山諸島に定着しています。宮古島や沖縄島でも見られますが、これは南方から飛来してきた「迷チョウ」です。宮古島や沖縄島でも飛来したメスが卵を産んで一時的に発生することがあります。幼虫の食草はスベリヒユです。成虫は畑や人家、荒地の周辺に見られます。オスは小高い丘に集まる性質があり、空き地や小高い丘の上で占有行動を行います。
本種のメスは、マダラチョウ科のカバマダラに擬態しているといわれています。マダラチョウ類は幼虫時代に食草から摂取した「毒」を体内に蓄えており、「まずい味」をもつことで、鳥などの捕食者から逃れることができます。毒をもつチョウに擬態することによって、毒のないチョウも鳥からの捕食を回避できると考えられます。
文・写真
沖縄県ミバエ対策事業所
小浜継雄