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2006年6月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能15 組踊(14)復活が期待される組踊

読谷の民俗芸能15
組踊(14)復活が期待される組踊

 第十四節 復活が期待される組踊
 これまで読谷に伝承された12題の組踊を紹介してきましたが、組踊シリーズの締めくくりは、台本もなく、演じたこと、見たことのある村民もおられない、まさしく復活が期待される組踊5題をまとめて紹介いたします。
 5題とは、巡見の官(字楚辺)、義臣物語(字伊良皆)、雪払い(字喜名)、多田名大主(字楚辺)、姉妹敵討(字高志保)です。
 「巡見の官」は、地方監察の役人が、巡見の途中、孝心者として名高い亀千代が、父親と継母に追い出されたことを聞き、父親と継母を捕らえるが、亀千代は二人を許すように懇願する。二人は許され、非を悔い改めるという物語(世話物)です。
「雪払い」は、昭和30年代まで台本が見つからず、真境名由康が戦前の記憶をたどりながら創作した系統と、その後明らかになった『今帰仁御殿本』などの写本類系統があるようです。
 字喜名に伝承されていた組踊がどの系統に属するか検討が必要になります。あらすじは「巡見の官」とおなじ内容ですが、那覇市宇栄原、嘉手納町野国などに伝承されているようです。
 「義臣物語」は、田里朝直(1703~1773年)の作でおこないの悪い高嶺按司が、鮫川に亡ぼされる。鮫川が若按司を追っていたところ、高嶺の勘気にふれ、身を引いていた国吉の比屋がかくまっ
ていることを知る。鮫川は国吉の志の高さに心を打たれ、若按司を取り立てます。この組踊は、謡曲(謡曲)の「小袖曽我」とよく比較されます。
 「多田名大主」は、宮古多良間に伝わる組踊で、兄弟で仇を討つという仇討物です。皆殺しをいさめる忠臣が殺されるという場面が盛り込まれています。
 「姉妹敵討」も、仇討物で六種類の写本があります。題名のとおり、村頭である父を殺された姉妹が敵討を果たすというものです。村娘がさむらいを討つということ、敵討のために姉妹が武芸の修業をするという特徴的な展開も見られます。
 以上、簡略化して述べてきましたが、『沖縄郷土古典芸能組踊全集』をはじめ多くの写本類を活用しながら、それぞれの地域が復活に向けて取り組んで頂くことをお願いするとともに、行政側も資料提供など共に頑張っていくことを申し上げます。
文・村立歴史民俗資料館
        長浜真勇

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