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2006年8月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能17 舞踊(2)シュンドウ

読谷の民俗芸能17 舞踊(2)シュンドウ

「シュンドウ」は、字瀬名波を代表する舞踊の一つです。字瀬名波では、船を所有していた儀保家の三男儀保カナミは、那覇に往来している頃、歌、三線、舞踊の手ほどきを受け、後に息子に教えた踊りが現在まで残っていると伝えています。
「シユンドウ」は、首里王府の御冠船踊でも踊られ、舞踊の最後に演じたところから「御後段(ウグダン)踊り」とも呼んだといいます。
美女と面を着けた醜女の打ち掛け踊りで、最初は一緒に踊っていたところ美女は醜女の匂いがひどいと帰っていきます。醜女は「人は縁で結ばれる大切さ」を訴えるという内容です。
現存する古典舞踊のなかで面を被る踊りは「シユンドウ」だけで貴重な存在です。
衣装、踊り方、地謡の歌詞から伺える人間の心のありようなど、その対比のさせ方は、ユーモアがありますが、それでいて何となく哀愁を感じさせます。
曲目はしょんだう節、それかん節、やれこのし節の3曲で踊られます。節名、はやしであるシュンドウ、スリカン、ヤリクヌシ、ウンマサミの意味について諸説ありますが、まだはっきりわかりません。「ヤリク」のはやしは舞踊ムンジュールの「赤山節」にも使用され、「シュンドウ」は歌劇「馬山川」のハヤシと似ており何かヒントが得られるかも知れません。
左こぶしを右の手のひらで包み、右手の中指を人差し指でこする所作があります。これはご年輩にはなじみのある仕草だと思いますが、自分の意に反する場面、思いもよらない状況に出会うと、「サッティム、サッティ」と言いながらパチッ、パチッと音が出るほど中指を人差し指でこすったと言います。同時に「チンベール」というアカンベーに似た所作もあり、民俗学的にも興味をそそります。
醜女の腰振り、前後に飛び跳ねたり、粗野な踊り方をしたり古典舞踊にしては本当に珍しい踊りで、舞踊劇の要素を含んだ踊りだと言えるでしょう。
文・村立歴史民俗資料館
      長浜 眞勇

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