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2009年4月発行 広報よみたん / 13頁

読谷の民俗芸能49 舞踊(25) 川平節

読谷の民俗芸能49 舞踊(25) 川平節

 沖縄の演劇界は、明治中期頃になると男女の掛け合い歌を基本にして男女の打組み舞踊が創作されるようになります。古典舞踊には、唯一「しようんだう」がありますが、明治期には、演劇的な要素の濃い舞踊が人気を集め「川平節」「金細工」「越来節」など、現在でもよく舞台で踊られている演目が次々と誕生していきます。これらの打組み舞踊は、舞踊劇と呼ぶ場合もあります。最近では、地謡も男女混合で歌う舞台が増えてきました。
 まず、字楚辺、字大湾、字宇座、字比謝に伝わる「川平節」を紹介いたします。
「川平節」の原曲は、八重山民謡で喜舎場永洵は次の歌詞を取り上げているようです。意訳の内容を記述します。
※(男)世間に取り沙汰される大名家のカンツィ(女性の名)はいつの夜の露に花を咲かせ添うことができようか。
※(女)時節を待って下さい、時を待って下さい、蕾の花が 咲かずにおられましょうか
※(男)時節を待っているうちに 時を待っているうちに 他の男性のところに行ったら 私はどうすればいいんだ

「川平節」の内容も、このように
掛け合い歌の形をふんでいます。
男性が恋心を打ち明けますが、女性は身のままならないことを理由に断られ、死のうと刀に手をかけます。女性は男性の誠の心を悟り手に手を取っていくという筋です。
 二番の男性の歌詞「御門にうんじみそり思い語ら(屋敷の外に出て下さい。恋を語ろう)」、十一番の女性の歌詞「命捨てみせる思いやてからや御恥かさあてもうすばなりら(命を捨てるほどの覚悟であるならば、お恥ずかしいことではありますが、あなたに添いましょう)」の下りは組踊「手水の縁」の山戸と玉津の会話を思い浮かべます。また十番の「我身や捨てら」で男性が刀に手をかける場面は、山戸の身投げの焼き直しを見ているようです。組踊「手水の縁」が歌劇で演じられていることは以前に紹介しましたが、男女の恋物語は歌劇に移行する要素を備えているのでしょう。
 「川平節」などをみると、掛け合い歌から男女の打組み舞踊が誕生し、やがて立ち方自らが歌う歌劇に発展していく過程がよくわかります。
 「川平節」も含め新しい創作舞踊は、写実的な動きで歌詞に忠実に振り付けられています。できる限り振りを省き、内面的な表現を主とした古典舞踊と違いがあります。「川平節」で特に目立つのが男性の振りで着物の袖をつかみ左右に手首を折るように踊るところです。
文・沖縄藝能史研究会会員  長浜 眞勇

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