読谷の民俗芸能 52 棒2 座喜味棒
座喜味棒の歴史は古いとされ、一時途絶えていたのですが、明治十年代に復活されたようです。字座喜味出身の山城平三が、津堅出身で多幸山で炭焼きをしていた老人から指導を受け、定着したということです。座喜味棒が「津堅手(ツィキンディー)」と言われるゆえんです。
おおよそ読谷の各地域の棒は、三尺、六尺の長さが使用されますが、座喜味棒では六尺の使用が多いという印象を持ちます。型は、一番棒、二番棒、三番棒、不意打棒、畦流棒、三尺棒、三尺六尺棒、三方棒、三尺三人棒、六尺三人棒、牛若流の十一種があります。
見所としては、棒の扱いがスピード感に溢れていることが、まず挙げられます。攻撃をかわす跳躍も大きな特徴です。棒は、約束組手ですから、一方に技を繰り出す手順が違ったり、タイミングがずれたりすると、うまくいきません。座喜味棒は、それこそ一瞬も気が抜けません。次に、通常二人一組で演じる型が多いですが、三人一組(一人対三人)の組み合わせがあり、より難度の高い技量を要する型もあります。また、「不意打棒」は、合図なしにいきなり後方から技を仕掛けるので、二人の呼吸、間合いの取り方が重要です。前向きに、後ろの敵に上から振り下ろす技も他の地域ではあまり見られません。極めつけは何といっても「牛若流」でしょう。薙刀と槍の対決です。ありとあらゆる型が構成されており、見所満載のすばらしい棒です。
※座喜味棒の総巻き
前棒(メーボー)、後棒(クシボー)の二組に別れ、東西に立てられた親旗頭、子旗頭を中心に左回りに巻き、右回りに解く「ゴーヤーマチ(高瀬貝の形)」を演じる。その後両方から中央に向かって、進み「イチャイボー」と称し出会い頭に一回棒を合わせる場面がある。次に、「ブルボー」という全員の棒の打ち合いがある。そして、「ユイアシ(寄足。行進の型)」の演技が続き、ここで棒の組み手が次々と披露される。締めくくりは、「太鼓切り」で「スーリ」「ハイッヤ」の掛け声と共に太鼓のリズム打ちがあり、鉦で打ち止めとなる。
座喜味棒は県内でも高く評価され、県外、海外公演にも数多く出演し、読谷の民俗芸能の魅力を発信しています。児童生徒(女生徒も含む)、青年、壮年と見事な継承体制を確立し、文献・映像記録もしっかり行われています。
文・沖縄藝能史研究会会員 長浜 眞勇