青羽羽衣。青みをおびた淡い緑色のきれいな虫です。学名(科学的な名前)の属名はGeisyaで、「芸者」にちなんでいます。この虫が粉をかぶっているところからきているようです。沖縄本島でホートゥカー、八重山ではパトゥンムシと呼ばれます。どちらもハトを意味します。本土でもこの虫を「ハト」と呼ぶ地域があるそうです。姿がハトに似ているのでしょうか。
成虫の大きさ(頭からはねの先まで)は約1cm。セミの仲間です。幅広い三角形の前ばねを立て、背中で合わせて止まるので、横からみると三角形の姿になります。庭や公園、林にすみ、いろいろな木についています。庭ではクロトンによくとまっています。細い枝に複数の個体が並んでとまり、ストローのような口で木の枝から汁を吸います。驚くと跳躍し、飛んで逃げます。卵は枯れ枝の皮の下に産みます。幼虫は白い蝋物質を出し、これを体につけるので、綿毛におおわれているように見えます。植物にもこの粉がついて、枝が白くなります。ミカンやチャなどの作物の害虫としても知られていますが、大発生しないかぎり害はないようです。
文・写真 沖縄県農業研究センター 小浜継雄