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1963年7月発行 読谷村だより / 3頁

干害冷害=農作物の被害は六九%=

干害冷害
=農作物の被害は六九%=

 七十二年ぶりと言われている未曾有の冷干害による被害は甚大で、農業経済に及ぼす影響は極めて大きく村が施設した灌漑用溜池四十三ヶ所も殆んど枯渇の状態に頻している。
 甘蔗は近年砂糖値上りに伴い、合わせて甘蔗原料価格の値上りで昨年は村全体で三十万六千弗の収入をあげ、最も大きな換金収入で農家経済を潤おし、蔗作面積は遂年増える一方で今期(六三年~六四年期)作付の原料蔗園は夏植面積約一万八千五百アール、株出面積一万一千アール、春植面積二千九百アールで去った製糖期の収穫面積の一、四四倍の増作にもかかわらず、今度の干魃の被害率は四六、八%に達し、被害額は凡そ二十一万三千弗となっている。その他主要作物の被害率は水稲九○、八%、甘藷九六%、大豆九一、二%、煙草五六、一%、蔬菜八十%で総体的には六九、二%の被害率に及び平時における収穫予想金額八十八万弗中被害額は六十一万弗を占め被害後の収穫予想額は僅かに二十七万弗台と推定される。

節水に御力を
 飲料水は水道公社の割譲によって給水している瀬名波、渡慶次、儀間、大木、伊良皆、牧原、比謝橋の上水道も公社の水源比謝川、天願川の河水及び瑞ヶ山ダム、平山ダムの貯水量が減少したため充分な給水は出来ず節水を呼びかけ村民の協力をお願いしている。これは本村だけでなく上水道敷設の全市町村、軍関係一体となって節水に努めている。楚辺都屋の簡易水道は今のところは何とか間に合っているが水源の減少に伴い水質が悪くなる事が懸念されている。
 喜名と親志では井戸水が干あがり軍の給水車と村で水運搬車を繰出して部落民の需要に応じている。
 この様に異状干害に対処する為村では干害対策委員会を設け八方手を尽くしている。
先づ農産部分の対策として
一、種苗の確保
二、家畜飼料の確保
三、病害虫駆除の三分野から対策を行う。
種苗の確保
主要作物、甘蔗、甘藷、水稲に対して行う

A、甘蔗苗の確保
イ、原苗圃中間苗圃に灌水用水を配付し原、中間苗圃を確保し、責任本数の獲得に努める。
ロ、蔗苗補給のため購入差格補助蔗苗運搬購入のあっせんを行う

B、甘藷苗の確保
苗の確保を村委託苗圃の五十アールと一般苗圃一千アールに灌水を行い確保する

C 水稲
政府の行う種もみ購入補助金を利用し五十%補助を行う

家畜飼料対策
甘藷飼料の補給として、とうもろこし飼料でその補給をする。

病害虫駆除
甘蔗害虫の駆除、
ガイダー駆除、野ねずみ駆除、甘藷コガ駆除、

伝染病予防対策
 干害と気温上昇の為夏期伝染病の多発が予想され現に赤痢、腸チフス、日本脳炎等が散発的に発生しているのでその予防対策を充分講じ、一般の協力を得て未然防止につとめる。水源が枯渇すると井戸、打込ポンプ、簡易水道が不良になり飲料水に不適になりがちで水不足の為食器洗いが不潔になりがちで煮沸して消毒後使用する様に促す
 特に日本脳炎は死亡率が高く而も子供にかかりやすい上に治っても、手足の麻ひや智能障害等が後遺症として永く残るのが少くありません。その予防法として
一、蚊、ボーフラの発生場所をなくすること
二、夜は蚊に刺されないよう必ず蚊帳をつつて寝ること
三、無帽で直射日光に当らないこと
四、過労しないように睡眠を充分とること
五、体の具合が悪かったら直ぐ医師に見て貰うこと等に注意しましょう。

消防対策として
 予防消防に留意し、火の用心のPRをすると共に防火用水の保全につとめ、又防火用溜池が殆んど干あがっているので専ら予防消防に村民の協力をお願いする。
窮すれば通ず
窮すれば通ずでこの天災を切り抜けるため昔の豊富な水源地を求めて楚辺の暗川、伊良皆の佐敷川、親志の砂良原の水源を開拓、楚辺では現在の所に立退移動のあった十年一昔前、移動に当って全村民の協力を得て当時の混迷の中にやっと安住の地と落着き現在の発展をとげ、この際その恩返しの一端にも役立てばと麗しい話が実を結び部落民の賛同を得て区民述べ八百名を動員してソベ暗川を渫え、やっと昔の泉を掘り当てこんこん湧出する水に一週間余の汗の苦労もすっかり忘れ水に困った部落の最悪時に対処する事にしている。伊良皆でも同様に部落民を繰出し佐敷川を渫えて非常時に備えている。
 又親志の砂良原は一号線に沿って山手の方から湧水があり、水質検査の結果も良好で政府に干害対策補助金交付の申請をしポンプアップをして飲料水に事欠く部落に給水を続けている。
 この様に村民各位の御協力のもとに何とか現在の窮状をしのでいるがその中待望の雨もあるかと期待している。

※写真「(干あがった潅漑沼池)」「(枯れかかった甘蔗)」「(暗川の泉を渫えるソベ区民)」「(砂良原の水源貯水地)」原本参照

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