読谷村史編集室 読谷村の出来事を調べる、読谷村広報データベース

1965年4月発行 読谷村だより / 2頁

式辞

〔99号1ページの続き〕

市町村会、議会議長会、農協長会等により、いろいろの対策を講じたるも如何んせん原料価格未決定のまま製糖期を迎え、最近ようやく、甘蔗の基準価格は決定したものの、安定する線に至らず或る工場では、操業中止という非常事態に至ったところもあると聞いております。本村に於いては一日平均約二二〇屯の甘蔗を搬入しておりますが、この調子なら六月中旬までかかる予想であり、甘蔗作農家の前途は、正に赤信号であります。
 この問題について本島内の各製糖会社も最善の努力を払っているとは思いますが農家としては作った甘蔗は適当な時期に収穫しなければならないので為政者と工場側の責任において、甘蔗原料の完全消化と補償に全力を尽くして貰いたいと思います。
ところで我が琉球の糖業がこのような最悪の事態に立至ったその原因については確か一九六三年八月の本土政府による砂糖の貿易自由化の実施と沖繩には甘蔗にまさる換金作物が他にないと理由からだと思うのでありますが、一昨年より進められた農業構造の改善に心して、甘蔗畑を幾分減らし、自給飼料の甘藷を増産され豚の多頭飼育にふみ切った農家はどんなに儲かったか知れません。
或る役人が「農家の人々は至って単純で保守的で、便乗主義だからわれわれが熱を入れてもなかなかついて来ない」とこぼしていたがまったくその通りかもしれません。
 現在はまた畜産ブームに傾いているが、これまで畜産振興の隘路とされている販売ルート流通機構の整備や飼育管理の改善、飼料対策等綿密な診断と実施計画がなければ絶対に安心出来るものではありません。
 ちなみに本村の農家はまだ四反足らずの零細農業であり、その上筆数多い分散した耕地をもって投機的な作物をつくり副業として一、二頭の豚を飼い或は軍作業の傍ら農業するという農家も割りに多く更に軍用地が多いこと等も関連して確固たる農業基本施設が出来ないため科学的合理性に基く農業経営は実に困難性が多い現况であります。
 ところが全就業者の四三%が農業に従事し総戸数の七〇%が農家であり第二次産業の少ないところとあっては農業に比重を置く以外に途はなく、農業振興こそ村発展につながる重要な問題であり、今こそ農業について真剣に取組んでいただきたい。
 従ってその推進については、去年五月に立案いたしました本村の農業振興計画に基き (一)土地の高度利用を図る (二)耕地面積を拡大する (三)耕種基準栽培による単位収量を引上げる (四)換金作物の生産拡大を計る (五)家畜飼料の自給度を高める (六)潜在労働力の完消化を計る、以上の六項目を基本目標にして農業経営を合理化し多角経営共同販売体制を確立することであります。
 尚本計画についてはこれまで度々申上げましたので既に御承知のことと存じますがここで最も重要なことは本計画の内容について、大いに議論して全農家の皆様が参加して貰うことであり常に一刻も早く一歩二歩も前進することであります次に村財政と納税について申上げます。数年来本村の安定財源は丹そ十五万ドルと推定し、年度当初はこの規模により予算を編成いたしましたが本年度はこれを大巾増額いたし一般会計予算額二四八、七〇〇〇ドル水道事業特別会計予算額七四、〇〇〇ドル計三二二、八〇〇ドルという膨大な規模に上り村民一人当り十五ドル三七セント一戸当り八〇ドルの予算となりました先づ経費面の主なるものは水道事業費、土木費、農業振興計画費、各種団体育成費、村行政費等が主なるものであり、保育園建設費、花織の再興費、水道事業費等が本年度の新しい事業費で只今着々と推進中であります。一方このような財政需要に対する収入財源については村税財産収入、市町村交付税、政府補助金等が主な財源であり、今年から全村水道事業の計画により三一、〇〇〇ドルの借入金を設定してあります。
また一九六四年における納税については別紙プリントで御覧のように村民税、固定資産税、事業税、不動産取得税、教育税の納税成績は合計にして一〇〇%に至っておりませんがこれは村外納税者に未納があるためで本村内二二ヵ字には一人の滞納者もなく揃って完納されており先輩村民が打ち立てた納税優良村の美しい伝統を堅持していることは全く御同慶に堪えません。この上は有効適切に村の政策を実践にうつし最大な効果を挙げ得るよう努力を払う所在であります。
 それではこのへんで共進会行事のあり方について新しい提案をいたします。
何故なら最近における社会経済の著しい発展や開放経済下に対処する農業のあり方から見て共進会はやめたほうがよい、とか二ヵ年に一回やったらどうか等の御意見るをよく聞いておりますが、私といたしましては村の行事として年に一回は是非必要であると考えます。
従って現在の共進会の名称を変えて「文化祭」或は「村民祭」とかに改めて村民全体が参加出来る行事にしたいと思います。その構想については二日間の日程をもって展示会場、即売会場、園芸会場、斗牛大会等の会場を設け展示会場には農産物、加工品、手芸品、花木園芸、盆栽、統計図表児童生徒及び一般による書道、図画、作文、文芸作品等を展示する。
即売会場には家畜のセリ市民芸品、盆栽、一流メーカーによる優良農機具家庭電気製品等の展示即売会を行なう。
演芸会場では児童生徒の唄声コンクール、音楽コンテスト、お話大会、婦人会、青年会、その他各団体による演芸会、美人コンテスト等を行なう。斗牛大会については幕入前の番外牛によって斗牛大会を催して見たいと考えております。
これが実現すれば村民全体が参加出来るし、二日間ゆっくり休んで村内で楽しめる。これが現代にふさわしい行事ではないかと思います。でもこのことは私の構想であって、今すぐ賛成を求めるものではありません実施に当っては、予算を伴いますし、運営委員を設けてとくと検討いたしますが本問題については皆様の建設的な御批判御意見を寄せていただくよう御願い致します。
 最後に本村の農業振興計画中の重要事業である養豚事業、果樹園事業については、農業各位の御協力により、すばらしい成績を挙げており、また、煙草、茶、マシュルームの栽培と併せて、今後強力に推進し明日の新しい農業をうち立てて農家経済を豊かにし、ひいては全村民の生活に余裕をもたらし、平和で明るい村生々発展する読谷村を築かんと決意を新たにするものであります。
尚これまで本村のために、いろいろ御指導御援助賜りました政府御当局、並びに中部市町村会、歴代先輩各位に対し深く感謝申上げ併せて村議会、教育委員会、村農協、青年会、婦人会、生改グループ、その他の団体村民皆様の尚一層の御協力を御願いいたしまして式辞といたします。

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